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2025.9.2

8月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2025)

2025.9.2

8月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2025)

9月です。秋の始まりとなる時期だそうです。正直夏の終わりも見えてこないですが。。。話は変わって先月は大阪・関西万博に行ってきました。一部では批判もあるようですが行ってみるとたくさんのクリエイティブや刺激があって大満足でした。お土産も爆買いしてしまいました。フィジカルに刺激のあるイベントに行くことはめちゃめちゃ大切です。今月もまだまだ暑いですが出来ればどこかクリエイティブを求めて足を運んでみようと思います。
それでは今月も話題になったサービスやトレンド・デザインをご紹介いたします!

「ただいま、パルパル。」——66周年を彩る地元出身のスター起用

「浜名湖パルパル66周年」記念企画のキービジュアル

静岡県浜松市の遊園地「浜名湖パルパル」は、今年で開園66周年を迎えました。記念イヤーの顔として選ばれたのは、地元出身でSixTONESのメンバー・松村北斗さん。子どもの頃から親しんできた遊園地の“パルっ子代表”として、テレビCMやラッピングバス、園内アナウンスなどに登場し、周年企画を盛り上げています。

Screenshot

運営する遠鉄観光開発は、2024年7月18日から翌年7月16日までを記念期間に設定。松村さん自身も「幼い頃から何度も訪れていた」と語り、地元ゆかりの人選ならではの温かみが感じられます。

テレビCM「ただいま、パルパル。」は、バスで園に“帰ってくる”松村さんの姿から始まり、園内を歩きながら思い出を重ねていく様子をドキュメンタリータッチで描写。「ただいま」の言葉には“帰ってきた”と“只今”の二重の意味が込められています。CMは公式YouTubeのほか、浜松駅前の大型ビジョンでも放映予定で、幅広い世代への来園促進を狙います。

「ただいま、パルパル。」篇(60秒)
「ただいま、パルパル。」篇(15秒)

浜名湖パルパルでは、8月1日から10月末まで「パルっ子代表就任記念スタンプラリー」が開催されています。対象アトラクションやロープウェイに6回以上乗ると、松村北斗さんのオリジナルステッカーがもらえる仕組み。園内には等身大パネルが登場し、本人の声によるアナウンスも流れる予定です。

プロモーションは園内にとどまらず、テレビCMをはじめ、遠州鉄道のラッピングバスや電車内ポスター、駅看板などへと広がっています。遠鉄グループ全体で展開されるこれらの施策は、地元企業とタレントの協力による統一感あるブランド体験をつくり出しているのが印象的です。

動き出したナナちゃん人形——「名鉄×WAO!」が仕掛ける街のプロモーション

名古屋のランドマークとして親しまれている名鉄百貨店前の「ナナちゃん人形」が、期間限定でユニークな姿に変身しました。期間中、両腕を高く掲げる「WAO!ポーズ」を披露する“WAO!ナナちゃん”として登場。毎日10時から19時まで、時報のように“7”の付く時刻ごとにポーズをとる演出は、誕生以来初めての試みです。

通常時(画像左)と「WAO!ポーズ」時(画像右)のナナちゃん。

この取り組みは、名古屋鉄道が掲げる新しい経営ビジョン「名鉄×WAO!」を広めるプロモーションの一環。ナナちゃんの装飾に加えて、来場者が同じポーズを撮影し、ハッシュタグ「#メイテツワオ」とともにSNSへ投稿すると、抽選でAmazonギフト券が当たるキャンペーンも行われています。開始直後から多くの報道や投稿が寄せられ、想像以上の反響を呼んでいるそうです。

さらに「名鉄×WAO!」シリーズ広告第3弾として、テレビCMやポスターでは「博物館 明治村篇」と「駅近の保育園篇」を展開。歴史建築を未来へ受け継ぐ姿や、地域とともに育つ保育園の取り組みが紹介され、グループの多彩な活動を伝えています。街に根づいたシンボルと企業ビジョンを結びつける、印象的なプロモーション事例といえそうです。

テレビCM「博物館 明治村篇」(30秒)
テレビCM「駅近の保育園篇」(30秒)

「思い出したくなる青春」——モンストが描く、カメラに残らない日常

MIXIのスマホゲーム「モンスターストライク」が、この夏に公開したテレビCM「思い出したくなる青春」篇。公式YouTubeでも配信されており、ゲームを知らない人の心にも届く映像として注目を集めています。

CMは「撮るに足らない日々たちへ」というコピーから始まり、男子高校生4人の何気ない日常を描写。帰り道の夕暮れやファミレスでの雑談、笑いすぎて泣いた放課後といった場面を、AKASAKIさんが歌う書き下ろし楽曲「四季回生」に乗せて紡いでいます。

「思い出したくなる青春」篇 

制作チームはZ世代へのインタビューをもとに、「思い出したくなる青春は、カメラロールに残らない。」というコピーを開発。ゲームを「味のなくならないガム」と例えながら、いつでも友達とつながれるモンストの魅力を表現しています。撮影では隠し撮り風の定点カメラ「青春ハンティングカメラ」を導入し、演出に頼らない自然な会話や空気感を切り取りました。

実際に高校生キャストには事前にモンストを一緒にプレイしてもらい、友達同士のような関係を築いた上で撮影を実施。その結果、リアルな青春の一場面を切り取った映像が完成しました。

SNS上では「男子たちの会話がリアルで胸に刺さる」「自然体すぎて自分の高校時代を思い出した」といった好意的な声が多数寄せられており、CMが狙った“共感”がしっかり届いていることがわかります。

ゲームの宣伝にとどまらず、青春という普遍的なテーマを扱った今回のプロモーションは、ブランドCMのあり方を考える上でも興味深い事例といえそうです。

「元祖なのに2位?」——スナックサンド50周年、自虐広告で挑むブランディング

フジパンは、携帯型サンドイッチ「スナックサンド」の発売50周年を記念し、大規模なキャンペーンをスタートしました。テレビCMやOOH(屋外広告)、パッケージリニューアル、店頭ボードなどを通じて、女優の森七菜さんとキャラクター「んーぱ」が登場する“自虐風”の広告を展開しています。

「スナックサンド」は1975年に誕生した、日本初の携帯型サンドイッチ。当時は家庭で手づくりするのが一般的でしたが、“袋入りで持ち歩けるサンドイッチを”という発想から開発が始まりました。四方を圧着する製法や具材配合の工夫によって、持ち運びやすく日持ちする商品が完成。当時の社長が製法特許を取得しつつ、業界発展のために広く使用を認めたエピソードも残っています。

一方で近年の調査では、競合商品に比べて認知度が劣る結果も。そこで今回の施策では「50周年」「元祖」という事実を、あえて“自虐的”な切り口で訴求する戦略がとられています。

CMでは、スーパーで「タマゴサンド」を欲しがる男の子に母親が「スナックサンド」を渡すと、「こっちじゃなーい!」と一言。怒った「んーぱ」が男の子を食べようとする場面を、森七菜さんが止める……というユーモラスな展開です。最後は皆で仲良く「スナックサンド」を頬張るシーンで締めくくられています。

さらにJR仙台駅では「元祖なのに売上は2位」「嘘だと思われている」といったコピーを掲出し、生活者の声を逆手に取った表現で存在感を発揮。加えて9月1日からはパッケージも刷新され、発売当時のデザインを踏襲しつつブランド名を大きく表示。周年限定の特別パッケージには「んーぱ」も登場しています。

遊び心とブランドの歴史をかけ合わせた今回のプロモーションは、長く愛されてきた商品の新しい魅力を再発見させてくれる事例といえそうです。

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