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2025.6.9

新宿駅の広告事情を徹底解説!注目の広告媒体&事例紹介

2025.6.9

新宿駅の広告事情を徹底解説!注目の広告媒体&事例紹介

JR東日本・京王電鉄・小田急電鉄・東京メトロ・東京都交通局の5社局が乗り入れる新宿駅は、毎日多くの人々が行き交う、日本屈指のターミナル駅です。JR東日本が毎年発表している「各駅の乗車人員」では、1日平均の乗車人員が長年にわたってトップを維持しており、その規模の大きさがうかがえます。
本記事では、そんな新宿駅に設置された注目の広告媒体ご紹介します。

「寝顔」を活かした広告戦略!BARTHのユニークなプロモーション

アース製薬は、中性重炭酸入浴剤「BARTH」の「よく眠れそう」というブランドイメージを強化するため、寝顔をテーマにした広告を2段階で展開しました。

第一弾の「寝顔募集」では、貼付された「BARTH」入浴剤をはがすと、「寝顔が尊い」と考える124の理由が現れる仕様に。このユニークな仕掛けにより、多くの人の共感を集め、寝顔写真が3500枚以上寄せられました。
そして第二弾では、その中から選ばれた124枚の寝顔写真を同じ場所にぎっしりと配置。ビジュアルを通じて、「よく眠れる」というイメージを直感的に訴求しました。シンプルながらも印象的な広告展開が話題となり、ブランドのメッセージを効果的に伝える結果となりました。

転職の名言がもらえる?ドラマ『転職の魔王様』の話題の広告施策

転職をテーマにした月10ドラマ『転職の魔王様』(関西テレビ放送)の宣伝の一環として、新宿駅にユニークな広告が掲出されました。

この広告では、主役とヒロイン役の「履歴書」を拡大して掲載。さらに、ドラマに関連した「転職名言つきのノート」がピールオフ広告として設置され、通行人が自由に持ち帰れる仕掛けになっていました。
この斬新なアイデアがSNSを中心に拡散され、「履歴書広告」や「転職名言ノート」といった話題が広がることに成功。ドラマのテーマともマッチした広告展開で、多くの人の関心を集めました。

8888リポストでふすまが開く!「大奥」広告がSNSで話題に

東京メトロ新宿駅プロムナードに突如として謎のふすまが出現しました。フジテレビのドラマ「大奥」の広告であることは明らかでしたが、その全貌は謎に包まれていました。

この広告と連動する形で、ドラマ公式X(旧Twitter)には、「ふすまのリポストが8888回を超えると、新宿のふすまが開き中をのぞける」と投稿。すると、実際に現地を訪れた人やXの投稿を見た人が次々と関連ポストを投稿し、なんと初日の数時間のうちにミッションが達成されるほどの盛り上がりを見せました。

企画担当者によると、「大奥」のような長年愛されている作品でも、新たな視聴者層を取り込むためには、若年層の利用が多いSNSの活用が不可欠だといいます。一方で、SNS上には日々さまざまなキャンペーンが発信されており、埋もれずに話題を生むためには、ユニークな仕掛けが求められます。
今回のプロモーションでは、「SNS上でのアクションがリアルな広告に影響を与える」という新しい試みが、多くのユーザーの関心を引きました。デジタルとリアルを掛け合わせたこの体験型広告は、今後のプロモーションの可能性を広げる成功事例となりそうです。

CMの舞台裏を丸ごと広告に!ハウスメイトのユニークなプロモーション

ハウスメイトパートナーズは、2023年1月から放送を開始したテレビCM「ふしめ、ふしめに、ハウスメイト」の新シリーズを、2024年1月より公開。その先行プロモーションとして、実際に広告クリエイターがプレゼンテーションで使用した新CMの演出コンテを、そのまま屋外広告として掲出しました。広告は2023年12月18日から、新宿のOOH(アウト・オブ・ホーム広告)として登場しました。

このシリーズでは、人生の節目を応援する「生活応援業」としての企業姿勢を伝えることを目的に、2023年は「受験生」をターゲットに展開。そして第2弾となる2024年は「就活生」に焦点を当て、コロナ禍で変化した就職活動の不安に寄り添う内容を企画しました。
ブランドイメージ向上に課題を抱えていた同社は、新CMへの期待感を高めるために、先行プロモーションを実施。その中で生まれたのが、「CM演出コンテを公開する」というアイデアでした。
掲出場所に「新宿アドストリート」を選んだ理由について、電通のクリエーティブディレクター玉山貴康氏は次のように語っています。
「このスペースを見たときに感じたのは、ゲームの地下通路のような、ある種の異空間。その雰囲気を活かし、CM用に描かれた芳賀薫監督の演出コンテを1コマずつ並べていくことで、まるで展覧会のように、身体全体で広告を体験できると考えました。」
CMの舞台裏ともいえる演出コンテを広告として掲出することで、視覚的なインパクトだけでなく、物語の世界観に引き込まれるような体験型プロモーションとなりました。

クロス新宿ビジョンに石川さゆりが降臨!?3D広告の仕掛けとは

2023年11月、クロス新宿ビジョンにて、UHA味覚糖の広告「3D巨大さゆり」が放映されました。さらに、同時期には「3D巨大さゆり」をそのまま模した表現を取り入れたテレビCM「3Dさゆり~さゆりイチ推し~」篇も公開され、話題を集めました。

「3D巨大さゆり」は15秒間の映像で、舞台がせり上がるように下から登場した石川さゆりさんが、「皆さーん!石川さゆりです!」と道行く人に向かって元気よく呼びかけるシーンから始まります。そして、「♪あなたののどを守りたい~」とテレビCMソングを歌いながら、通行人に向かって商品をアピール。インパクトのある演出で、道行く人々の注目を集めました。
このアイデアについて、日本経済広告社のエグゼクティブ・クリエーティブディレクター中村方彦氏は、次のように語っています。
「チームで話し合う中で、銀座の時計台から時折人形が飛び出すような仕掛けがあると面白いのでは?という話になりました。そして、少し前から話題になっていた『新宿東口の3D猫』のように、繁華街のど真ん中でさゆりさんが飛び出してきたら、インパクトも意外性もあって面白いのではと考えたんです。」
3Dビジョンならではの奥行き感を活かし、まるで本当に飛び出してくるかのような演出で印象づけた本広告。昭和の大スター・石川さゆりさんを現代的なデジタル技術と組み合わせたユニークな試みは、多くの人の目を引くプロモーションとなりました。

ホラー×ユーモアで話題に!『貞子DX』の拡散型プロモーション施策

KADOKAWAは、ホラー映画『リング』シリーズの最新作『貞子DX』を2023年10月28日に公開。その公開に先駆けて、9月28日からTwitter投稿キャンペーン「#貞子が拡散中」を実施しました。このキャンペーンでは、生活の“あらゆる場面”に貞子が出現する写真や動画を投稿することで参加でき、多くの人が貞子の存在を拡散する仕掛けになっていました。

一連のプロモーションでは、作品のキャッチコピー「もう近くに、いる―」を体現するような施策が展開されました。たとえば、タクシーのサイネージ広告から貞子が這い出してくるAR映像を楽しめる「貞子タクシー」が街を走り、さらにクロス新宿ビジョンでは話題の「新宿東口の猫」とコラボレーション。<猫VS貞子>の3D広告を掲出し、暮らしの中で思わず拡散したくなるようなユニークな施策を展開しました。
これらの施策では、映画の恐怖感を伝えるだけでなく、貞子のキャラクターとしての魅力もクローズアップ。特に「新宿東口の猫」とのコラボでは、いつものようにブラウン管から這い出てきた貞子が、隣にいる猫にパンチされ、驚いて引っ込んでしまうというユーモラスな演出が話題に。「毎日でも見たい!」という声が集まり、SNSを中心に拡散されるなど、見る人を惹きつけるプロモーションとなりました。
恐怖とユーモアを掛け合わせることで、SNS時代にマッチした話題性の高い広告を展開した『貞子DX』。これまでのホラー映画の枠を超え、広く楽しめるプロモーションが成功を収めました。

タクシー窓ガラスジャック&新宿2大ビジョン!『しん次元』のプロモーション戦略

『クレヨンしんちゃん』シリーズ初の3DCG作品となる映画『しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦~とべとべ手巻き寿司~』。2023年8月の公開に合わせ、都内各所で大規模なプロモーションが展開されました。

特に注目を集めたのが、100台ものタクシーの窓ガラスを活用した「窓ガラスジャック」広告。車窓にしんちゃんたちが登場するユニークな演出で、移動中の人々の目を引きました。
さらに、新宿ではアルタビジョンとクロス新宿ビジョンの2つの巨大スクリーンを活用したOOH広告を実施。3DCG映画ならではの立体的な映像を2カ所でシンクロ放映し、映画のテーマをダイナミックに表現。通行人にインパクトを与え、新次元のしんちゃんを印象づけるプロモーションとなりました。
3DCGならではの映像表現を活かし、屋外広告やタクシー広告など多彩な施策を展開した『しん次元!クレヨンしんちゃん』。新たなビジュアルで魅せるしんちゃんの世界は、幅広い層の注目を集めました。

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