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デザインナレッジ

2025.6.2

「ブランド・エンゲージメントとメディア利用」に関する調査結果

2025.6.2

「ブランド・エンゲージメントとメディア利用」に関する調査結果

パブリックグッドは「ブランド・エンゲージメントとメディア利用」に関するアンケート結果を発表しました。
調査の結果、近年、多くの企業が策定し、マーケティングやブランディング活動において定着しつつある「パーパス」(企業の存在意義)に対する消費者の関心度が高まり、浸透してきていることが明らかになりました。
企業の社会的使命や価値観が、消費者とのエンゲージメントにどのように影響を与えるのか、今後のマーケティング戦略にも注目が集まりそうです。

「パーパス」認知・共感の違いを分析

本調査は、2024年5月2日~13日に実施。それに先立ち、スクリーニング調査(4月30日~5月2日)が行われました。スクリーニング調査の対象は、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に住む20~60代の男女5000名(男性2200名・女性2800名)。その中で、「パーパス」に対する認知や共感の有無に基づき、以下の2つの対象グループが設定されました。

対象者A(495名:男性250名・女性245名)
 ➡ 「パーパス」という言葉を「知っている」または「聞いたことがある」かつ、パーパスに共感しているブランドが「ある」と回答した人
対象者B(500名:男性250名・女性250名)
 ➡ 「パーパス」という言葉を「知らない」と回答した人
この区分により、「パーパス」の認知度や、ブランドへの共感が消費者行動にどう影響を与えるのかを詳しく分析しています。

「パーパス」の認知度は44.7% 「知っている」が22.0%、「聞いたことはある」が22.7%

本調査では、「パーパス」という言葉の認知度について質問。その結果、
・「知っている」と回答した人は22.0%
・「聞いたことはあるが、意味は理解していない」と回答した人は22.7%
この2つを合わせると、全体の44.7%が「パーパス」という言葉を認知していることが明らかになりました。
企業のマーケティング活動として「パーパス」が浸透しつつある中、約半数が言葉として認識していることが分かり、今後のブランド戦略においても消費者との関係性を深める重要な要素となりそうです。

23.7%が「パーパスに共感する企業・ブランドがある」と回答 。消費者とのエンゲージメント構築に一定の効果

本調査では、「パーパス」という言葉の定義を提示したうえで、「パーパスに共感する企業やブランドがあるか」を質問。その結果、全体の約4人に1人(23.7%)が「ある」と回答しました。
この結果から、企業のブランディング活動において「パーパス」が消費者とのエンゲージメント構築に一定の効果を発揮しつつあることが明らかになりました。
「パーパス」を通じてブランドの価値観や社会的意義を伝える取り組みが進む中、消費者の共感を得ることが、より強固なブランドロイヤルティの構築につながる可能性が示唆されています。

消費者の71.6%がメディアを通じて「パーパス」の情報収集。アーンドメディアが中心に

本調査では、「企業やブランドのパーパスに関する情報をどの情報源から得ているか」を質問。その結果、全体の71.6%が何らかのメディアを通じて情報を得ていることが明らかになりました。
「パーパス」情報の取得先ランキング
①テレビ番組(15.6%)
②ブランドの公式サイト(14.6%)
③新聞記事(11.4%)
④ニュース配信サービス(8.9%)
⑤雑誌記事(8.8%)
この結果から、パブリシティを指す「アーンドメディア」(Earned Media)が、「パーパス」に関する主要な情報収集手段となっていることが判明しました。
特に、2位の「ブランド公式サイト」以外は、すべて第三者が解説や編集を行ったメディアが上位にランクイン。消費者は、企業が直接発信する情報だけでなく、客観的な視点が加えられたメディアの解説を重視する傾向にあることが示されました。
この結果を踏まえると、企業のパーパスを効果的に伝えるためには、信頼性のあるメディアとの連携がますます重要になりそうです。

パブリックグッド代表取締役の菅原賢一氏は、本調査結果を受けて、「パーパス」が企業のブランディング活動において成果を挙げつつある一方で、消費者とのコミュニケーションに課題が残ると指摘しました。

「新型コロナウイルスの蔓延を契機に、社会的に『サステナビリティ』や『SDGs』への関心が高まり、各企業が『パーパス』の策定や発信に尽力してきました。『パーパス』は2021年頃からブームとなり、ブランディング活動においてかなりの速度で浸透し、一定の成果を挙げつつあると考えています。」
しかし、菅原氏は、「パーパス」が生活者に十分に届いていない企業も多く、消費者との間にコミュニケーションギャップが生じているケースが見られると指摘。
「単に発信するだけでなく、ブランドと消費者の間で有機的な議論が生まれるような仕掛けをつくることが重要です。」
と語り、企業がより双方向のコミュニケーションを意識する必要があることを強調しました。
今後、パーパスを単なる企業メッセージとして発信するだけでなく、消費者と対話を生み出し、ブランドとのエンゲージメントを深める取り組みが求められそうです。

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