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2025.5.1

4月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2025)

2025.5.1

4月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2025)

とうとう4月です。私が独立して1年がたちました。上手くいったこと、まだまだなところたくさんありますが、これからもぼちぼちやっていきます!
それでは今月も話題になったサービスやトレンド・デザインをご紹介いたします!

思わずニヤリ。エンジニアあるあるを届けた地下鉄広告

テクノロジーソリューション事業を展開するパーソルクロステクノロジーが、仙台市地下鉄南北線でユニークな広告キャンペーンを実施しました。タイトルは、その名も「エンジニアしんどいフェスティバル」。
広告では、「Gitでマージしたらコンフリクト祭り。」「読みにくいコードだなと思い、ログを見ると過去の自分。」「沼りまくったバグが突然直ってる恐怖」といった、エンジニアなら誰もがうなずいてしまう“しんどいあるある”を紹介。思わずクスッと笑ってしまう内容ばかりです。

仙台で展開した「ITエンジニア」篇。

この取り組みは、同社が進める「フレー!エンジニアプロジェクト」の一環。全国のエンジニアを応援する活動の中で、地方のエンジニアへのサポートにも力を入れており、今回の仙台での出稿に至ったそうです。

企画を担当したのは、九州博報堂のコピーライター・中村彩乃さん。「専門的だからこそ理解されづらいエンジニアの仕事を、駅や電車内といった公共の場で大々的に取り上げることで、世の中の関心や理解を少しでも高めたいと考えました」と話しています。

コピー制作にあたっては、世代を超えたエンジニアたちを集めた座談会を実施。その場で飛び出したリアルな「あるある」エピソードをヒントに、広告コピーを考えたとのことです。
ちなみに、今回の展開は仙台市地下鉄南北線だけではありません。福岡市営地下鉄空港線・箱崎線では「ITエンジニア」篇、西鉄天神大牟田線の5駅とJR九州の豊肥線・三角線では「ものづくりエンジニア」篇が展開される予定です。
エンジニアの「しんどさ」をあえてポジティブに発信することで、共感と理解を広げるこのプロジェクト。日常のなかでふと目にした人たちの心にも、きっと温かい共鳴を届けてくれそうです。

4チャンネルをもっと身近に。話題の『4と鳴く犬』CM

中京テレビが公式SNSで公開した企業CMが、いま話題を集めています。
注目されているのは、30秒の映像のほとんどを、白い犬が「ヨン!」と鳴くシーンが占めているという、かなり斬新な構成。起用されたのは、2017年にTwitter(現X)で一躍話題になった「4と鳴く犬」の動画です。

この企画を手がけたのは、クリエイティブディレクター/プランナーの市川晴華さん(CHOCOLATE所属)。
中京テレビからは、「テレビ局のイメージを刷新したい」「普段はサブスクサービスを利用している若年層にも振り向いてもらえるCMにしたい」「中京テレビが4チャンネルであることを訴求したい」といったオリエンがあったといいます。

市川さんは、企画の経緯についてこう語っています。
「約8年前、X上で爆発的に拡散された『4と鳴く犬』。ネット上でも長く愛されてきたこの動画は、’ヨン!’という鳴き声が強い印象を残します。しかも、そのまま『4チャンネル』の訴求にもつながる。そんな理由から提案し、今回の起用に至りました。もともとの素材の良さを活かすことで、企業CMらしからぬ“生感”を引き出すことができたと思います」。

今回の映像制作では、プロデューサーの佐土原奨平さん(TYO drive)が、撮影者と飼い主の双方からきちんと使用許可を取得。
もともとの動画は6秒でしたが、オフラインエディターの赤木敢大さんが30秒バージョンに編集。元ネタを知っている人にも、初めて見る人にも楽しんでもらえるよう、「4と鳴く犬」の自己紹介も含めた構成で、誰にとってもわかりやすい面白さを目指して仕上げたそうです。

演出を担当したのは、OND°所属のCMディレクター・岩崎裕介さん。
「『4と鳴く犬』はすでに誰からも愛される存在であり、映像としても完成されていました。だからこそ、素材の持つ良さを損なわないよう、演出は必要最小限にとどめ、CMとしての“間”のコントロールにだけ注力しました」とコメント。ちなみに、岩崎さんはナレーションも担当しています。

中京テレビでは、この「4と鳴く犬」を起用したWebムービーを、さらにもう1本公開する予定とのこと。
ユニークで親しみやすいアプローチが、これからどんな展開を見せてくれるのか、楽しみです!

“声が読める”新しい電話体験を届ける。ヨメテルの新聞広告

日本財団電話リレーサービスが提供するアプリ「ヨメテル」の新聞広告が、3月3日の「耳の日」に合わせて、朝日新聞・読売新聞・毎日新聞の朝刊に掲載されました。
「ヨメテル」は、通話相手の声をリアルタイムで文字にして表示する電話アプリです。

もともと「電話リレーサービス」とは、聴覚や発話に障害のある方を対象に、オペレーターが手話や文字を介して通話をサポートする公共インフラとして、2021年7月から正式運用されています。
一方、「ヨメテル」は、難聴や中途失聴などの理由で「自分の声で話せるけれど、相手の声が聞き取りにくい」という方に向けた新たなサービス。
冒頭8秒間だけガイダンスが流れた後は、通常の音声通話と同じように、自分の声で自然に会話を進めることができる仕組みになっています。
背景には、日本補聴器工業会による調査「JapanTrak2018」で、日本国内に1400万人以上の“何らかの聞こえにくさ”を抱える人がいるというデータも。
今回の新聞広告では、そうした現状への理解を促すとともに、「耳の日」というタイミングで“聞こえ”について改めて考えてもらいたい、というメッセージも込められています。
クリエイティブディレクターを務めた阿部広太郎さんは、「耳の日に合わせた広告出稿を通じて、多くの人にこのテーマに触れてもらえたら」と話しています。

相手の声が読める電話「ヨメテル」30秒CM。
https://www.youtube.com/watch?v=–o_PmR6XCg
ヨメテル「きこえにくい座談会」(Long Ver.)。
https://www.youtube.com/watch?v=JbPK-xbOX4c

サービスリリースに合わせて、30秒のテレビCMやロングバージョン、ドキュメンタリー動画も公開されました。
映像制作にあたっては、「ヨメテル」の利用対象となる当事者たちと広報戦略会議を立ち上げ、コンセプトづくりやトークテーマ選定など、丁寧な対話を重ねながら企画を進めたそうです。
特に注目されたのは、通話の最初に流れる自動音声ガイダンスの存在。
「ヨメテルです。あなたの声を文字にして、相手に表示します。はっきりとお話しください」という案内を聞いて驚き、電話を切ってしまうケースもあることがわかり、そのガイダンス自体への認知を広げることも、今回の大きなミッションのひとつになりました。

また、CMやドキュメンタリー動画にはすべて字幕をつけ、ルビも振ることで、情報へのアクセシビリティを高める工夫がなされています。
阿部さんは、「情報格差をなくすにはどうすればいいか。『誰ひとり取り残さない』クリエイティブとは何かを、これからも考え続けていきたい」とコメントしています。
耳の日に届けられたこの広告は、より多くの人に新しい電話のカタチと、コミュニケーションの可能性を伝えるきっかけとなりそうです。

“感情”を贈る新しいギフト提案。PLAZA『HEARTS UP! GIFT』スタート

スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニーが運営するライフスタイルストア「PLAZA」では、新しいギフト企画「HEARTS UP! GIFT」をスタートしました。テレビCMや特設ページも同時に公開し、賑やかな展開を見せています。

この企画を手がけたのは、博報堂Gravityのクリエイティブディレクター・佐々木裕也さん。
企画のきっかけについて、佐々木さんは「PLAZAの店舗を何店舗も巡る中で、カラフルで賑やかな商品がぎっしり並んでいる様子に気づきました。それぞれがギフトになり得る世界観が広がっていたんです」と話します。
「商品ラインアップだけでなく、ギフトを選ぶお客様たちの表情にも注目しました。友達と笑い合ったり、コスメ選びで少し悩んでいたり──そんな感情の動きが、PLAZAの店内をより一層バラエティ豊かにしていると感じました。これこそが、“HEARTS UP!”──つまり“人の心拍数を上げる”PLAZAの最大の魅力だと捉えたんです」。
こうした気づきから、今回は“商品”そのものではなく、“人の感情”にフォーカスするというユニークな切り口が生まれました。ターゲットは20代女性を中心に据えながらも、性別や世代を問わず幅広い層に向けた企画になっています。

「感情が並ぶ棚」篇 30秒。
https://www.youtube.com/watch?v=SGGsOk6DCBw

企画が固まったのは2024年末。撮影は年明け1月末に実施され、3月頭にはローンチ。およそ2カ月という短期間でのスピーディーな展開となりました。
「年末年始を挟みながら、音楽選びやキャスティング、撮影店舗のセレクトまで、細かな部分を2週間強でまとめあげました」と、佐々木さんは振り返ります。

テレビCMでは「感情が並ぶ棚」篇として、PLAZAのギフトアイテムを手に取ったときに心が動く瞬間を表現。15秒版と30秒版、2種類が制作されました。
PLAZA担当者によると、今回の取り組みでは「これまで店頭販促やSNS施策だけではリーチしきれなかった層や、PLAZAから少し離れてしまったお客様にもアプローチしたい」とのこと。
「CMでは、PLAZAでの買い物をもっと自由に楽しんでもらうイメージを描いています。ギフト選びやショッピングそのものが“HEARTS UP!”なアクションだと伝えることで、PLAZAならではの体験価値をより感じてもらえたらと考えています」と担当者は語ります。

HEARTS UP!特設ページ
https://www.plazastyle.com/contents/plazagift/

また、特設サイトでは「HEARTS UP! GIFT COLLECTION」を公開。
ギフトアイテムを、出産祝い・誕生日といった定番の“贈るシーン”ではなく、「ニヤニヤ」「ワクワク」「きゅん」「ジーン」といった“感情”でカテゴライズする新しい提案を行っています。

モノではなく、感情を軸にして贈り物を選ぶ。そんな新しいギフトの楽しみ方を、PLAZAが届けています。

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