「もったいな~インタビュー!」 というシソンヌ長谷川さんの掛け声でおなじみのCMは、花王の企業広告キャンペーン 「もったいないを、ほっとけない。」 シリーズの一環として、2022年にスタートしました。
このCMでは、Tシャツ、ごみ箱、電球など 身の回りのさまざまなものに「もったいないことがありますか?」とインタビューする ユニークなストーリーが展開され、これまでに9本が制作されています。
そして、今年からは 「もったいなインタビュー 排水口さん篇」 がオンエア中。引き続き、「もったいない」に気づき、見直すきっかけを提供する内容となっています。
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花王の「もったいないを、ほっとけない。」新展開!「せつない水の物語」が公開

花王「もったいなインタビュー 排水口さん篇」
「花王は、『サステナブル』という言葉が世の中で広がるずっと前から、環境に配慮した技術や製品の研究・開発に取り組んできました。その根底にあるのは、『もったいない』と感じたことを改善しようとする姿勢です。そんな花王のさまざまな取り組みを紹介するのが、『もったいないを、ほっとけない。』シリーズ なのです」と語るのは、電通 クリエイティブディレクター・CMプランナーの鈴木晋太郎氏。
これまで、このシリーズでは ムービーを中心に、日常のさまざまなものにインタビューする というユニークな手法で、暮らしの中に潜む「もったいない」と、それを「ほっとけない」花王の取り組みを伝えていました。今年の新作では、「排水口さん」を主人公に、水やお湯の節約が CO2削減につながる ことを訴求しています。
そして、新たな展開もスタートしています。花王はWebサイトとInstagramで、全14話からなる「せつない水の物語 -その水は、何もできずに流れていった。-」 を公開しました。
「せつない水の物語」— 日常に潜む“もったいない”に気づくキャンペーン

「その水は、シャワーの先からポタポタ垂れるお湯として流れていった。」
「その水は、一人暮らしなのに広すぎる湯舟のお湯として役目を終えた。」
「その水は、食べこぼしたTシャツ一枚だけを洗う洗濯機の水として役目を終えた。」
こうした “せつない水の物語” が語られる今回のキャンペーン。どれも日常の中で見過ごされがちな水の無駄遣いをテーマにしたストーリーです。
この施策を行った背景について、電通 プランナーの新城早紀氏 は次のように語ります。
「今年は、節水を促すアクティベーション施策にチャレンジしたいというオリエンをいただきました。ただ、単に『節水しましょう』と呼びかけるだけでは、生活者の行動変容にはつながりにくいと考えました。そこで、日常に潜む水の『もったいない』を起点に、まずは“気づき”を生み出すことを目指しました。」
この施策では、キャンペーンのストーリーに共感した人が インスタグラムのストーリーズで「せつない水の物語」をシェア&メンション すると、花王が1投稿(1アカウント)につき100円を、世界に清潔な水を届ける活動に寄付 する仕組みになっています。
「生活者の中で節水への『気づき』が広まり、さらに水を大切にするアクションへとつながることを期待しています」(新城氏)。
「せつない水の物語」はこうして生まれた— 水視点で描く“もったいない”の気づき

それにしても、これほど短く、そしてせつないストーリーは どのように生まれた のでしょうか?
「節水を呼びかけるメッセージは、すでに日常の中でよく目にするもの。だからこそ、どうすれば “新鮮な気づき” として生活者に届けられるかを考えました」と語るのは、コピーライター・岩田純平氏。
従来の「あるある」な生活者視点では既視感が生まれやすい。そこで、「水の視点」に立ち、誕生したのが 『せつない水の物語』 でした。
「雨として降った水が水道水になり、『世の中の役に立ちたい!』と志高く、一生懸命に暗い水道管をくぐり抜けてきたのに…やっと辿り着いた蛇口の先で、思っていたのとは違う形で一生を終えてしまう。その “せつなさ” を描きました。物語があっという間に終わる切なさを強調するために、映像の最後には 番組のエンディングのような『終』のクレジット を入れています。
暮らしの中でついやってしまいがちな 水の“もったいない” を、全14話にわたる さまざまな水の一生 を通して、少しでも多くの人に気づいてもらえたらと思っています」(岩田氏)。
OOHでも存在感!花王の「せつない水の物語」が伝えたいメッセージ


CMと同様にユニークなのは、この物語の主人公。 すべての物語に登場するキャラクターが「水」であることです。
「水を使うときに ふと思い出してもらえるようなキャッチーさ を持たせつつ、クスッと笑えるポジティブな節水の普及 ができないかと考えました。そこで、水をキャラクター化し、シンプルなビジュアルを制作することにしました」と語るのは、電通 アートディレクター・江波戸李生氏。
この「せつなさ」を チャーミング に表現するために、イラストレーターの fancomi氏 に制作を依頼。
「虚無感のある水の表情とシンプルな構成で、日常の1シーンを かわいらしくも印象的なイラスト に仕上げてもらえました」と江波戸氏。
プラグのデザイナー・鑓田佳広氏、小島幸菊氏 とともに、14種類のビジュアルを作り上げました。
9月末には、丸の内駅周辺やJR東日本の車両ドア横などでOOH広告として展開。 花王のキーカラーである 緑一色を使い、視認性を高めるために強く濃く印刷 されています。
電車内でこれらのビジュアルを見た人からは、「せつない」「水を大切にしようと思った」「流れていってしまった水くんのこと考えたら悲しくなっちゃった」 などの感想がSNSに多数投稿されました。
さらに、花王の本社1階でも「せつない水の物語」を掲出。 社員や関係者からも、節水への気づきと共感の声が多く寄せられています。