この春より、デザイナーとして独立する運びとなりました。皆様の日々の生活に彩りを加えることができるよう、心を込めてデザインをお届けいたします。またご縁あるすべての方々と共に成長していければと考えておりまして、私が気になったデザインやサービスを定期的にご紹介していければと思っております。
それでは早速最近話題になったサービスやトレンドをご紹介いたします!
[目次]
クリンスイのブランドCM

https://brand.cleansui.com/cm-2024
三菱ケミカル・クリンスイの浄水器ブランド「クリンスイ」は、俳優の水川あさみさんを起用し、新しいテレビCMシリーズ「Cleanと、Cleanで、クリンスイ。」を公開しました。このCMは、水川さんが水博士として出演し、水の重要性やクリンスイの特徴を説明しています。特に、「W(ダボー)」篇や「ごはん」篇では、クリンスイの浄水技術がどのように日常生活に役立つかを強調しています。
実はクリンスイが著名人を起用し本格的にテレビCMを展開するのは、数十年ぶりになります。ブランドとして伝えたいメッセージはあったものの、CMは高額なメディ費が必要であり、継続しなければ効果が出ないという難しさがあるため見送っていたそうです。そのため今までのマス広告はCMなどの動画メディアではなく新聞広告を制作していました。ただこちらの広告もなかなかの力の入れ様でグラフィックデザイナーに佐藤卓氏をアサインし、水がイメージされるビビットな青と赤いCIが象徴的な新聞広告は多方面から大きな反響を呼んだそうです。

そして今回、同社の課題を再度整理しテレビCM作成をスタートさせました。演出は、今回のCMでも起用されている水川さんが出演したデリカミニ(三菱自動車工業)のCMも手がけている小島淳平監督。CMで伝えたいことは、「Cleanと、Cleanで、クリンスイ。」というメッセージと共にWフィルターというファクト、そして「安全」「ミネラル」「環境に良い」という3つのベネフィットのみ。
そしてできあがったのが、「W(ダボー)」というファクトと「ミネラ~ル」というベネフィットが独特の言い回しで印象に残る「W(ダボー)」篇と「どちらが」篇です。予算の関係もあり、オンエアは決して多いとは言えないですが、社内外から好評を得ているそうです。CMの演出は淡々したなかにユーモアもあり、耳に残るキャッチーなコピーでわかりやすく視聴者に伝えたいメッセージやベネフィットが届けられていると思います。
特設サイトについてもクリンスイの特徴などをビジュアルでちゃんと紹介されており、とても丁寧なコミュニケーションが行われています。
王子HDの150周年事業

https://www.ojiholdings.co.jp/150th
王子ホールディングスは渋沢栄一の提唱により1873年に「抄紙会社」として設立します。その後1893年に「王子製紙」と改称し、分割・合併を経て王子ホールディングスとなります。段ボール、ティシュ、印刷用紙などの製造販売に加え、近年は木質由来の医薬品やセルロースナノファイバーなどの新素材開発にも注力している国内有数の企業です。その日本の産業の発展を支えてきた王子ホールディングスが、2023年2月に創業150周年を迎えました。
上記の150周年を記念したロゴは森を育て、森林資源を活かす循環と、150年の伝統と新しい未来へと挑戦しつづけていく様子を、森から続き森へ帰っていく道で表現したものになります。木の葉は変化・進化し続けていく社員一人ひとりの力を表しているそうです。

150周年を迎えられたことへの感謝とともに、2022年に制定したパーパスを社内外に浸透させるためのコミュニケーションとして創業記念日にあたる2月12日に150周年記念サイトをオープンしました。トップ画像には、「森を育て、森を活かす」という、同社のパーパスに込めた思いをイメージできるよう社有林の写真を活用していて、今後こちらの150周年記念サイトで1年かけてコンテンツを追加していくとのことです。それにプラスしてCGの先進技術を取り入れたドキュメンタリー調の自社の歴史を紹介する記念動画もサイトにて発信しています。
帝京大学「10学部十色」

帝京⼤学は4月6日、CM「わたしはわたしになっていく」篇を公開しました。こちらのCMは、「知らなかった世界と出会うことで、わたしはわたしになっていく。」をキャッチコピーに、帝京大学の“10学部十色”な新しい出会いを描いています。
CMでは楽曲にKan Sano さん、アニメーションにはつのさめさんやmeecoさんら10人以上の今話題のイラストレーターを起用していて、テイストの異なるイラストレーターを起用することにより、各学部ごとに“10学部十色”なキャンパスライフがあることを伝えています。内容は帝京大学10学部それぞれのキャンパスライフでの出会いを、オムニバスMVのような雰囲気で、さわやかでおしゃれに構成しています。

あわせて4月8日からは、4月4日、4月6日に行われる入学式に合わせ、在校生のキャンパスライフの“リアル”を伝える「#帝京生のリアル2024」も公開中。「#帝京生のリアル」とは、帝京大学生がカメラマンとなってキャンパスライフを撮影した素材を、そのまま広告にするプロジェクトのことで帝京大学が2023年から実施しているようです。

https://www.teikyo-u.ac.jp/campus_for_life/photo_project
NOKがグループ統一の新CI発表、ロゴやタグラインを刷新

オイルシールメーカーのNOKは、グループ会社92社で新たに統一したコーポレートアイデンティティ(CI)を発表しました。このCIのクリエイティブディレクションを務めたのが、あの佐藤可士和氏です。あらたに企業ロゴやグループロゴ、タグラインを刷新し、国内外の従業員約3万8000人と報道関係者に向けた発表イベントでは策定の目的やデザインに込めた想いを説明していました。
タグラインは、「Essential Core Manufacturingー社会に不可欠な中心領域を担うモノづくり」と策定。コピーライターの斉藤賢司氏(ホンシツ)が携わっています。また、より視覚的に伝えるモーションロゴも制作しており、中村勇吾氏(tha)が手がけていて、今後同社サイトで公開する予定ということでこちらは要チェックです。
阪神タイガース89周年でスポーツ新聞5紙に広告

阪神タイガースは球団創設89周年を記念して、周年キャッチコピー「Thank you,89(ヤキュー)!野球よ、ありがとう。」を掲げたキービジュアルとブランドムービーを公開しました。また同時にスポーツ新聞5紙(関西版)では異なるビジュアルの広告が掲載されました。
こちらのクリエィティブは昨年のリーグ優勝と日本シリーズ制覇によって日本一となったこのタイミングで、野球に感謝を伝え、野球そのものの価値を伝える周年活動にしようと実施したものです。阪神ファンの熱量や野球に対するまっすぐな想い・感謝がど直球に表現されていて、個人的に大好きなデザインです。
ブランドムービーは、周年キャッチコピー「Thank you,89! 野球よ、ありがとう。」に込めた想いを映像化したもので、YouTubeやX、TikTokの球団公式アカウントで公開しました。昨年のリーグ優勝シーンから始まり、ステートメントのナレーションとともに過去の試合映像や応援するファンの様子が映し出されていて、かなりエモーショナルで阪神ファンではない私でもワクワクする心踊る仕上がりになっていました。

パナソニックグループ、社内報の社外公開スタート

https://news.panasonic.com/jp/group-magazine
パナソニックグループは、これまでグループの社員に向けて発行してきた社内報を社外からも閲覧可能な形にリニューアルしまいた。リニューアル後はグループコミュニケーションマガジン「幸せの、チカラに。」としてインターネット上で公開してます。
リニューアルした「幸せの、チカラに。」のコンセプトは「パナソニックグループの『ひと』と出会う」。働く社員=「ひと」に焦点をあて、グループのパーパスである「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に向けて取り組む社員について取り上げることで、取り組み事例の紹介にとどまらず、その背景にある考え方や挑戦する姿勢などまで深く紹介しています。
社内報というと基本は社員とその家族に向けたものになるのですが、今後このようなオウンドメディア・インナー向けのツールも社外に発信していくことが注目されていくと思います。
私も以前働いていた企業で社内報を作成していたことがあるのですが、労力やかかるコストの割に費用対効果が低いと感じていました。パナソニックグループの取り組みのようにサイトやSNSを通じて発信することで、社員のエンゲージメント向上はもとより社外ファン獲得も期待できるので、多くの中小企業の参考になるのではないでしょうか。