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2025.3.1

2月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2025)

2025.3.1

2月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2025)

私ごとですが2月に久しぶりに福岡旅行へ行ってきました!ラーメン、水炊き、海鮮、鶏皮と福岡名物を爆食!
本当に美味しかったのですが、、、ボディがやばいです。。。
今年は絶対痩せてやります!
それでは今月も話題になったサービスやトレンド・デザインをご紹介いたします!

ひらパー流プロモーション!イルミネーションと岡田園長のアクスタが話題

京阪電気鉄道が運営する、大阪・枚方の遊園地「ひらかたパーク」といえば、季節ごとに展開されるユニークな広告で知られています。
この冬も、そんな「ひらパー」らしい話題が登場しました。2024年11月から2025年4月にかけて開催されるイルミネーションイベント「光の遊園地」に合わせ、「超ひらパー兄さん」であり園長を務める岡田准一さんのアクリルスタンドが販売開始。来園者限定で購入できるとあって話題を呼び、なんと販売開始からわずか2日間で1000個以上を売り上げました。

「ひらかたパーク(通称:ひらパー)」の広告クリエイティブは、一貫して博報堂関西支社が手がけています。ひらパーの顔ともいえる岡田准一さんは、地元・枚方市の出身。2013年からイメージキャラクターを務め、翌年には「園長」というユニークな肩書で就任しました。
そんなひらパーの広告戦略を10年以上にわたって手がけてきたのが、クリエイティブディレクターの田中幹氏。「岡田園長というキャラクターが、次々と新たな冒険を繰り広げる広告ですが、一番の目的は来園者を増やすこと。今回は冬のイルミネーション開催に合わせた来園促進の取り組みで、季節ごとのイベントに合わせて半年以上前から企画がスタートしています」と語ります。
今冬のテレビCM「物販」篇は、関西エリアで放映開始。その目玉が、岡田園長の「アクリルスタンド(アクスタ)」です。これまでにもアイマスクやパーカーなど、園長にちなんだグッズは数々登場してきましたが、アクスタの販売は今回が初めて。しかも、通販は行わず、来園者限定の販売という特別感もあり、話題を呼んでいます。

「実は、岡田さんご本人が以前から『ひらパーでアクスタを作りたい』と言ってくれていたんです。それもあって、今回のイルミネーションシーズンに合わせて提案しました。さらに、『アクリル』のイントネーションを変えると、『アクリル~』とちょっとファンタジーな響きになるのも面白いなと(笑)。そこから着想を得て、冬のイルミネーションを背景にした“アクリル族の妖精”が登場するCMのストーリーが生まれました。
もともとは幻想的な妖精の物語だったはずが、終盤にはアクスタの物販を全力で宣伝するという、なんとも正直な展開に(笑)。でも、それこそがひらパーのCMらしさかなと思います」と田中氏は語ります。
ちなみに、このCMの背景は合成ではなく、実写。秋口のCM制作時点で、すでにイルミネーションの準備が整っていたため、実際の園内で撮影が行われました。

「違法だよ!あげるくん」シリーズ最新作、3年ぶりに登場!

日本民間放送連盟は、インターネット上での放送番組の違法配信を抑止するため、2014年度から「放送番組の違法配信撲滅キャンペーン」を実施しています。その一環として、2019年にスタートした啓発スポット「違法だよ!あげるくん」シリーズ。
その最新作となるCMが、2025年1月1日からオンエアを開始しました。今回のCMは、2022年1月に公開された「未来からきたあげる」篇、「あげすぎさん」篇以来、実に3年ぶりとなる新作。シリーズとしては、通算7本目と8本目にあたります。

「あげるくん」シリーズがスタートして以来、SNSなどでの反響を通じて大きな手応えを感じていました。ただ、その間にプラットフォームは多様化し、違法アップロードを取り巻く環境も日々変化しています。そうした背景から、今回の新作では『この変化に対応できるような素材を、そしてCMシリーズとしての新しさを加えてほしい』というオリエンをいただきました」と語るのは、クリエイティブディレクターの中野仁嘉氏。

今回の新作2篇では、近年増えているスマートフォンを使ったSNS上でのショート動画による著作権侵害の実態を踏まえ、「たとえ番組全編をアップロードしなくても違法である」という事実を改めて伝えることを目的としています。また、「軽い気持ちで無断アップロードをしないように」という注意喚起のメッセージも込められています。
特に「ショート動画もつかまるよ」篇では、SNS上でのショート動画による著作権侵害の現状を反映し、スマートフォン向けの縦型フォーマットで制作。動画の長さに関係なく、ショート動画であっても違法行為になることを強く訴えかけています。

「違法だよ!あげるくん/あげやん」篇
https://www.youtube.com/watch?v=HI3vQVqJOAs&t=4s

新作「あげやん」篇には、関西弁を話す新キャラクター・あげやんが登場します。あげやんは、気軽な気持ちでスマートフォンから番組をアップロードしてしまいますが、犬のトメ吉に厳しくたしなめられる展開に。
関西弁ならではのテンポの良いやり取りを交えながら、「気軽な気持ちでも違法アップロードはダメ」というメッセージをわかりやすく伝える内容になっています。

新キャラクターとして登場するのは、揚げ物を食べることと、無断で番組を「あげる」ことが大好きな「あげやん」。実はこのキャラクター、本CMのプロデューサー・武末直也氏が以前から温めていたアイデアだったそうです。
ディレクターを務めたのは、これまでの「あげるくん」シリーズを手がけてきたなかじましんや氏。

「なかじま監督の切れ味抜群な編集もこだわりどころなのですが、シリーズ当初から“このキャラクターには絶対なりたくない!”と思ってもらえるようなキャラクターづくりを意識しています。違法アップロードしている時点でそもそもなりたくないのですが(笑)、さらに“ちょっとウザい喋り方”や、“ギタギタのスマホ”など、細かい部分にもこだわっています」と語るのは川辺氏

「あげるくん」シリーズがスタートして以降、SNSでは違法アップロードをした人に対し、「違法だよ、あげるくん」と指摘するコメントが見られるようになり、CMの認知とともに違法行為への意識も高まりつつあるといいます。
今回の新CMは、テレビ局各社の有料・無料の動画配信サイトでの配信に加え、各局の公式サイトやオフィシャルサイトでも展開予定です。

中外製薬の新CMが描く“がんゲノム医療”の未来

中外製薬は、新CM「Innovation Lab/がんゲノム医療」篇のオンエアを開始し、公式YouTubeでも公開しました。
CMの舞台は、異空間にまっすぐ伸びる一本の道。その中心に立つのは、肺をモチーフにしたオブジェを持つ女性と、研究員役の松坂桃李さん。すると、道の両側にDNA構造を模した螺旋状の光が浮かび上がり、幻想的な雰囲気が広がります。

「Innovation Lab/がんゲノム医療」篇
https://www.youtube.com/watch?v=a9GBMux4L_E

松坂桃李さんが研究員を演じる中外製薬のCMシリーズは、今回で3作目。取り上げているテーマは、同社の強みである「がん領域の個別化医療」です。
本作では、がん治療が従来の臓器別の治療から、一人ひとりのがん遺伝子変異を解析し、最適な治療を提供する「がんゲノム医療」へと進化していることを描いています。そして、「がん治療に個性を。」というコピーを通じて、中外製薬が目指す個別化医療の未来を表現しています。
「『がん治療は臓器別で行われるもの』という世の中の認識を入口にできないかと考えました」と語るのは、クリエイティブディレクターの野澤幸司氏。
「がん治療の解像度を、臓器ごとの単位を超え、一人ひとりの単位まで深めていきたい。そんな企業姿勢を『がん治療に個性を』というメッセージに込めています」

このシリーズでは、毎回何か象徴的なビジュアルを軸に制作されてきました。今回のCMでは、発光する螺旋のオブジェを並べることで、一人ひとり異なる遺伝子変異の個性を表現。また、研究室のシーンは、中外ライフサイエンスパーク横浜で撮影され、リアリティのある映像が実現されています。
放映後、がん治療というシリアスなテーマながらも、SNSでは「美しい」「神々しい」といったポジティブな反応が多く寄せられています。

EVE×ナナちゃんがコラボ!名古屋をジャックする肩こり痛ケア広告

エスエス製薬の解熱鎮痛薬ブランド『EVE(イブ)』は、名古屋駅のシンボル「ナナちゃん」とコラボレーションし、愛知県民の肩こり痛に寄り添う広告キャンペーンを展開します。
今回のコラボでは、名古屋駅周辺のナナちゃんストリートをジャック。さらに、名古屋駅在来線改札内のホーム階段・エスカレーター壁面、名古屋地下鉄東山線にもコラボ広告を掲出し、広範囲にわたって展開されます。

今回の施策は、2024年に実施した「肩こり痛調査」の結果を受けたものです。この調査では、30〜59歳の男女4,700名(各都道府県100名ずつ)を対象に、全国の肩こり痛の実態を調査しました。
その結果、愛知県では約8割の人が肩こり痛を感じたことがあると回答。さらに、「肩こり痛を感じたことがある人の割合」を示す「肩こり痛ランキング」では、全国47都道府県中12位という結果に。また、肩こり痛を感じる頻度においては、男性の「とてもある」、そして30代の「感じたことがある」がともに全国1位となり、愛知県民の肩こり痛の深刻さが浮き彫りとなりました。

今回のコラボレーションは、肩こり痛に悩む愛知県民に向けて、鎮痛薬による対処法を啓発することを目的としています。
そして今回、「ナナちゃん」は51年間の歴史で初めて、目に涙を浮かべた“肩こり姿”で登場。長年、名古屋駅のシンボルとして親しまれてきたナナちゃんが、肩こり痛に苦しむ姿を通じて、多くの人に共感を呼びかけます。

プランナーの浜木駿介氏によると、今回の企画の発端は、「ナナちゃん」の存在そのものにありました。何十年も同じ姿勢で立ち続けている彼女が、「実は肩こり痛に悩んでいるのではないか?」という発想からスタート。その視点をもとに、EVE(イブ)が第三者としてナナちゃんの肩こり痛をいたわるというストーリーへと発展させました。
コピーライターの松澤歩実氏は、本施策の狙いについて次のように語ります。
「イブスリーショットプレミアムは、頭痛や生理痛だけでなく、『肩こり痛』にもアプローチできる鎮痛剤であることを、より多くの方に知ってもらいたいと考えました。そこで、コピーには『つらい肩こり痛に、飲む選択を。』というタグラインを採用。広告を見た方が、肩こり痛の対処方法として“薬を飲む”という選択肢を想起できるよう意識しました。」

さらに、「肩こり博士」としてテレビや雑誌で活躍する理学療法士の吉田一也氏も、今回の企画に際しコメントを寄せています。
「ナナちゃんの頭の位置は少し前に出ており、これはデスクワークやスマホ操作時の現代人と同じような姿勢です。頭が前に出ると、首・肩・背中が緊張しやすくなり、長期間その姿勢を続けることで肩こり痛が悪化することが考えられます。長年この姿勢をキープしているナナちゃんは、かなりつらい状態かもしれません。」
こうした考察をもとに、「肩こり痛に悩むナナちゃんの内なる声」を、各所の広告バナーで掲出する施策も展開されます。

1973年に名鉄百貨店セブン館(現在は閉館)のオープン1周年を記念して誕生したナナちゃん。以来、名鉄百貨店の広報部員として多彩なファッションを披露し、2012年からは一般企業の広告媒体としても活躍してきました。そして51歳を迎えた2024年5月には、初めて“人間ドックデビュー”も果たしています。

17年ぶりのロゴ刷新!中川政七商店が描く「日本の工芸を海外へ」

中川政七商店(奈良市)は、2025年に自社のロゴデザインをリニューアルしました。 ロゴの刷新は2008年以来、実に17年ぶり。
今回のリニューアルでは、従来の構成や要素を大切にしつつも、細部のデザインやキーワードを見直し、より洗練された印象に仕上げています。その背景には、同社が掲げる新たなビジョン 「日本の工芸を海外へ」 という目標があり、これを体現するデザインへとアップデートされました。

旧ロゴと新ロゴ。

中川政七商店は、2018年から台湾、北京、上海、ソウルなどのアジア圏でポップアップストアを展開してきました。そして今後は、さらにグローバル展開を加速させ、2030年までに初の海外旗艦店をオープンする計画を掲げています。
このグローバル市場での可読性を意識したロゴリニューアルでは、ブランド名をアルファベット表記に加え、創業を示す「SINCE 1716 NARA JAPAN」が記載されました。また、「日本」「工芸」というキーワードも新たに取り入れ、ブランドのルーツとビジョンを象徴するデザインへと進化しています。

新ロゴ。

旧ロゴが誕生したのは2008年。このデザインを手がけたのは、good design companyのクリエイティブディレクター・水野学氏。そして、今回のロゴ刷新も引き続き同氏が担当しました。

水野氏は、今回のデザインについて次のようにコメントしています。
「江戸時代から続く老舗『中川政七商店』にふさわしいマークとは何か。さまざまな文献を読み漁り、試行錯誤を繰り返しながら制作したのが2008年のロゴでした。
あれから約17年。成長を続ける中川政七商店と、その志である『日本の工芸を元気にする』という想い、そして300年以上にわたり商いを続けてきた先人の皆様の偉業に敬意を表しながら、**日本の工芸とともに世界へと進出するブランドにふさわしいマークへと再編集し、デザインを完成させました。」(水野氏)

中川政七商店は1716年創業。2002年から直営店の出店を加速し、SPA業態(製造小売)を確立。さらに2009年からは、自社の経営再生の経験を活かし、工芸メーカーへのコンサルティング事業も展開しています。

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