大谷さんが世界一になって、衆議院が解散して、キングオブコントでラブレターズが優勝した10月が終わり、11月が始まりました。みなさんも年末に向けギアを上げていきましょー!
それでは今月も話題になったサービスやトレンド・デザインをご紹介いたします!
[目次]
ストライプホールディングスの新しいブランドデザイン

ストライプホールディングスグループは、衣料品ブランド「earth music&ecology」などを手がける企業で、新たなコーポレートブランドデザインとブランドムービー「Create Good Surprise!」を公開しました。

同グループは「ファッションの力で笑顔輝くあしたをつくる」という2023年に策定したパーパスをさらに深めるため、「あしたProject」と題した社内横断の取り組みを実施しました。このプロジェクトの中で、同社は新たに「グッドサプライズ創造業」という提供価値を掲げ、自社の提供価値を再定義しています。

【NEWステートメント】
私たちは、「いいきっかけ」を創っていく。
一人ひとりにあったファッションを提案し続けることで。
私たちは、「いいきっかけ」を創っていく。
誰もが新たな自分らしさを見つけられるように。
ストライプホールディングスグループは
「グッドサプライズ創造業」という使命を胸に、
ファッションを通して、今まで気づかなかった
あたらしい楽しさや幸せを、次々と届けていきます。
この服を着て、何をしよう。誰と会おう。どこへ行こう。
そんな、人生のかけがえのない「いいきっかけ」を、すべての人へ
このステートメントには、服やファッションを通じて「小さな幸せへのきっかけ」を多くの人に届けたいという、同社の一人ひとりの強い意志が込められています。新たに掲げた提供価値「グッドサプライズ創造業」をもとに、顧客や社会に向けた宣言として生まれたスローガンが「Create Good Surprise!」です。
このスローガンのロゴデザインは、ストライプを象徴する3本のラインとサプライズを表現した感嘆符が組み合わされ、カラフルなデザインになっています。また、このロゴはさまざまなグラフィックデザインとして展開されており、ストライプホールディングスが持つ多様な力、エネルギー、そしてクリエイティビティを表現しています。


公開されたブランドムービーでは、年齢や性別を問わず、さまざまな人々が登場します。複数の楽器やボーカルによって構成されたダイナミックな楽曲が流れる中、それぞれが好きな服を着て、大切な人に会いに行ったり、自分らしい時間を楽しんでいる様子が描かれています。多様な人物のシーンを通じて、そこで生まれる感情や生き生きとした表情がリアルに表現されています。このムービーのディレクターは、映像作家でありストリートフォトグラファーの多田海氏が務めました。



こちらのグラフィックは、社員向けのポスターとして制作され、店舗従業員を含む全国の社員にブランドブックとしても配布されました。
Netflix『極悪女王』悪態広告でプロモーション展開

Netflixは、9月19日から配信を開始したオリジナルドラマ『極悪女王』(全5話)のプロモーションを、渋谷エリアを中心に展開しています。

『極悪女王』は、80年代のプロレスブーム全盛期を舞台に、松本香という少女が悪役プロレスラー・ダンプ松本(演:ゆりやんレトリィバァ)へと変貌を遂げていく姿を描いた物語です。作品では、当時熱狂的な人気を誇ったプロレスラー・長与千種(演:唐田えりか)との伝説の試合「敗者髪切りデスマッチ」なども描かれ、当時の雰囲気を忠実に再現している点が話題になっています。
このプロモーションの目玉となっているのが、渋谷エリアで展開されている「悪態広告」です。

「ヒール役を徹底するために竹刀を振り回し、悪態を吐き続けたダンプ松本。その強烈な個性を広告でも際立たせるために、広告と消費者が直接接するOOH(アウト・オブ・ホーム)広告の特性を活かし、通行人に絡む“悪態広告”を考案しました」と語るのは、電通のクリエイティブディレクター・加我俊介氏です。
さらに、ダンプ松本が「ヒール役を演じながらも実は心優しい少女」というキャラクターの本質を表現するため、深夜の渋谷センター街で店舗のシャッターを活用した演出も用意されました。シャッターに「帰れ!」と悪態をつきながら帰宅を促すメッセージを表示し、路上での飲酒によるゴミの放置や通行の妨げを減らすことも、この仕掛けの目的の一つです。



「サントリー天然水」×「ハローキティ」キャンペーン

サントリー食品インターナショナルは、「サントリー天然水」ブランドのプロモーションに、2024年に50周年を迎えたサンリオの「ハローキティ」をキャンペーンキャラクターとして起用しました。

このキャンペーンの背景には、「サントリー天然水」が2023年に開始した「ウォーター・ポジティブ」コミュニケーションの活動があります。サントリーグループでは、取水量以上の水を水系に戻すことを「ウォーター・ポジティブ」と定義しています。サントリーは、国内工場での節水活動に加えて、国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水を涵養する「サントリー 天然水の森」活動を2003年から行っており、この取り組みにより「ウォーター・ポジティブ」の実現を達成しています。
この活動を広めるために、「水と友だちになろう」をテーマとした新聞広告や屋外広告、SNSキャンペーンを展開しています。
「これまでのコミュニケーションに加えて、50周年を迎えるハローキティとのコラボレーションを通じて、ウォーター・ポジティブへの共感と理解を幅広い世代に広げたいと考えました。そのため、ハローキティ50周年のコンセプトを考案したチームに声をかけました」と語るのは、クリエイティブディレクターの橋田和明氏です。
クリエイティブチームは、ハローキティへの深い愛情を持ちながら、「キティちゃんならウォーター・ポジティブについてどう感じるだろうか?」「キティちゃんらしい受け止め方とは何だろう?」と考えることから始めました。
「ハローキティ50周年のコンセプトでは、『未来と友だちになろう。』という言葉を掲げ、未来に不安があるとしても、友だちになるというアプローチを取ることで、きっと未来と仲良くなれるのではという提案をしています。その考え方は、未来の水資源のために行動を起こすウォーター・ポジティブの理念と多くの共通点があります」と橋田氏は続けます。
ハローキティ50周年と連動し、キティちゃんが世の中に「この指とーまれ」と呼びかけるようなメッセージを生み出すために考案されたのが、「水と友だちになろう」という言葉でした。8月1日の水の日を、水と友だちになることで未来の水を考える日にしようという提案を行いました。

8月1日の「水の日」には、朝日新聞(全国版/朝刊)と読売新聞(全国版/朝刊)に15段の新聞広告が出稿されました。広告には「20年先の今日、『水の日』にサントリーへこの新聞を送ってね。未来の天然水と交換してくれるって。」というメッセージが記されています。
「今日、森に降った雨が20年かけてサントリーの天然水になる。この20年という時間の流れを、自分自身の時間軸で感じてもらえたら、『水と友だちになろう』というメッセージに具体性と信憑性を与えられると考えました。その頃、自分がどこで誰と何をしているだろう…? この新聞広告が、読者のスケジュール帳における、いちばん先の予定になるような仕掛けを目指しました」と、コピーライターの尾形真理子氏は語ります。

新聞広告や屋外広告のグラフィックは、「サントリー天然水」のブランドイメージに合わせてブルーを基調にデザインされています。7月末には、JR東日本渋谷駅ハチ公改札の入口上部に掲出された壁面広告を皮切りに、屋外広告や交通広告が展開されました。これらの広告では、「未来のお水はだいじょうぶ?」という問いかけを通じて、「ウォーター・ポジティブ」について知り、考えるきっかけを提供しています。
「今回のデザインは、キャンペーンキャラクターとしての役割だけでなく、今を生きる私たちの代弁者としてのキティちゃんの素直さや口調を意識して仕上げました」と、アートディレクターの小杉幸一氏は説明しています。
いいちこ40周年記念イベント『iichiko Design Week 2024』

1984年から続く「いいちこ」の駅貼りポスターが今年で40周年を迎えることを記念し、10月8日から12日まで、渋谷ストリームホールで「iichiko Design Week 2024」が開催されます。
このイベントでは、歴代のポスターやボトルデザインの展示に加え、撮影秘話やロケ地マップなどの情報も紹介されます。さらに、デジタルを活用した体験コンテンツや限定カクテルの提供を通じて、「いいちこ」のこれまでとこれからを多角的に伝えます。

「いいちこ」は1979年に発売され、1984年から毎年13枚ずつ、心地よい風景の中に「いいちこ」を配置した印象的なグラフィックの駅貼りポスターを制作しています。このポスターは一貫してアートディレクターの河北秀也氏が手がけています。
「いいちこ」に関するすべての広告デザインは「iichiko design」と称され、2024年9月末時点で駅貼りポスターは計521枚、総数では2000点以上に上ります。
「iichiko Design Week 2024」では、会場を「iichikoに触れる」「iichikoを知る」「iichikoを体験する」という3つのエリアに分けて展示を実施します。
「触れる」エリアは4階に設置され、これまで公開された駅貼りポスターの中から厳選された40枚が展示されます。このエリアでは、掲載年月、紙質、カラーなどの基本情報に加えて、アートディレクターの河北秀也氏による撮影秘話や、その当時の時代背景、ニュースなどの詳細も紹介されています。

「知る」エリアは6階で開催されます。ここでは、「All About iichiko(いいちこ大全)」として、イラストや豆知識を交えながら「いいちこ」について幅広く紹介する展示が設けられています。また、関係する著名人40人によるインタビュー「iichiko and Me(わたしといいちこ)」も展示され、各人が「いいちこ」との関わりを語ります。
さらに、デザインの細部まで観察できる巨大なボトルグラフィックや、歴代ポスターの撮影地を示したロケ地マップなど、クリエイティブな展示も用意されています。これらの展示を通じて、「いいちこ」のデザインとその背景にあるストーリーを深く知ることができます。

「体験する」エリアは5階で行われます。ここでは、「iichiko Special Bar(いいちこスペシャルBar)」がオープンし、「いいちこ」を使用した限定カクテルが提供されます。世界トップレベルのバー5店舗からゲストバーテンダーが招かれ、有料で日替わりの特別なカクテルが楽しめます。また、ドリンクパスを購入すれば、「いいちこ」13種類の飲み比べも体験できます。
さらに、酒蔵のシズル感を表現した映像を投影する空間演出や、デジタル体験コンテンツも用意されています。例えば、コースターを置くと酒質チャートやおすすめの飲み方を教えてくれるセンサー付き平面モニターテーブルなど、来場者が五感を通じて「いいちこ」を深く楽しめる仕掛けが揃っています。