気づけばもう10月。独立してから半年が過ぎようとしています。いろいろなご縁のおかげで、なんとかここまでやってこれております。。本当に感謝しかありません。今年も残りわずかですが、これからもバリバリ働いていこうと思う今日この頃です。
それでは今月も話題になったサービスやトレンド・デザインをご紹介いたします!
[目次]
パナソニックのピールオフ広告。「#忘れられない風景と音楽」

パナソニックのHi-FiオーディオブランドであるTechnics(テクニクス)は、完全ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ80」のプロモーションとして、オリジナルプレイリストが再生できるミュージックキーホルダーがもらえるピールオフ広告を掲出しました。掲出場所は、東京メトロ新宿駅のメトロプロムナードと大阪のホワイティうめだサニーテラス広場の2カ所です。

今回の交通広告では、第1弾キャンペーンで集まった投稿の中から写真やエピソードに基づいて選ばれた100曲を収録し、25曲ずつ4種類のプレイリストが作成されました。これらのプレイリストはSpotifyで配信されるだけでなく、物理的に持ち運んで楽しめるよう、ミュージックキーホルダー「The Music」とのタイアップも行われました。
「The Music」はレコード盤やカセットテープを模したキーホルダーで、スマートフォンにかざすだけで登録したプレイリストや楽曲を再生することができます。このキーホルダーはピールオフ広告として合計9060個が配布され、はがすと、第1弾のSNSキャンペーンで選ばれた「忘れられない風景と音楽」にまつわる写真とエピソードが表示される仕組みです。
また、今回もSNSキャンペーンが連動して展開されています。プレイリストの感想を投稿すると、テクニクスのワイヤレスイヤホンが当たるキャンペーンを「X(旧Twitter)」で実施中です。さらに、第1弾で集まった写真とエピソードを紹介するプロジェクトムービー「みんなの思い出」篇が公開されており、ムービーにはマルチクリエイターの深根さんが書き下ろした楽曲「あの空とおく」が使用されています。

忘れられない風景と音楽 プロジェクトムービー「みんなの思い出」篇
劇場公開から15年目。Z会グループと映画『サマーウォーズ』のコラボ企画

Z会グループが6公開したWebムービー「17歳の健二へ」篇は、8月16日時点でYouTubeの再生回数が1カ月強で117万回、Xでは542万回を超えています。
このムービーは、今年劇場公開15周年を迎えるアニメーション映画『サマーウォーズ』(細田守監督/2009年公開)とのコラボレーション企画です。ストーリーは、大人になった主人公・小磯健二が15年前の自分へ手紙を書くという内容で、当時健二の声を担当した俳優・神木隆之介さんが吹き替えを担当しています。

「17歳の健二へ」篇
今回、Z会グループと映画『サマーウォーズ』のコラボレーションでは、若者とZ会グループのエンゲージメントを高めること、そして話題化を図ることを目的に、さまざまな企画を実施しました。
その一つが前述のWebムービーです。大人になった主人公・健二が15年前の自分にエールを送るという「17歳の健二へ」をキーワードに、当時健二役を演じた俳優・神木隆之介さんが、15年の時を経て吹き替えを担当したことが表現の核となっています。 「映像では、サマーウォーズファンはもちろん、全ての人が難問に立ち向かうことの価値を感じられるように、『諦めたら解けない』という劇中の名台詞を現在と当時の神木さんの声が重なるように演出しました。ナレーションでは、今の健二だからこそ気付ける価値を伝えるものにしています」。
また、映画の中で健二が解いた謎の数列「“あの難問”」を再現するべく、XではZ会の教材編集スタッフが考案したオリジナル問題を公開。解読に成功した人だけが特設サイトにアクセスし、プレゼントに応募できる仕組みにしました。

さらに、そのオリジナル問題をポスターにして、『サマーウォーズ』の舞台である長野県・上田電鉄の上田駅に掲出しました。「Solve Me」と題されたこのキャンペーンでは、ティザー、問題、ヒントの投稿すべてを作中のシーンと重ねた画像や文章にし、ファンのチャレンジ精神を刺激する狙いがありました。
キャンペーン開始後、累計で4100リポスト、3.2万の「いいね」、362万インプレッションを獲得し、「Z会の問題挑戦してみた」といったブログやYouTubeの投稿も多数寄せられました。出題された問題は超難問であったにもかかわらず、7日間で240人が解読に成功しています。

15年前の劇場公開日である8月1日を前に、7月26日には信濃毎日新聞にZ会と「サマーウォーズ」の連名で新聞広告が出稿されました。その広告には「17歳の健二」に向けた手紙が綴られ、ファンの間で再び話題を呼びました。なお、上田駅でのポスター掲出は8月8日まで行われました。
花王「共働きの夫婦のおもいやり気づけてない問題」をテーマに動画広告を展開

今回放映が開始された動画広告は、同社が展開する「共働き夫婦のおもいやり気づけてない問題」プロジェクトの一環として制作されました。これは、全国の共働き夫婦300人を対象に行った家事における「ありがとう」に関する意識調査の結果をもとに開始されたもので、夫婦間で“ありがとう”を伝える習慣をサポートすることを目的としています。

2024年に12日間に渡り実施された本調査の結果によると、共働き夫婦のおよそ2人に1人が、結婚後に“ありがとう”と言う回数が減ったと感じています。その中でも、68%が結婚3年以内で「夫婦間での“ありがとう”が減った」と回答しました。また、主要な家事の中で、洗濯は最も“ありがとう”と言われる機会が少ない業務であることも明らかになりました。


意識調査の結果をもとに制作された今回の動画広告は、結婚3年目の共働き夫婦が抱える家事にまつわる“あるある”を描いています。洗剤の使いすぎや洗濯物を洗濯機に詰め込みすぎるなど、家事の至らない部分ばかりに目が行き、つい指摘し合ってしまう夫婦の姿が描かれています。しかし、大家の言葉で思いやりに気付いた妻をきっかけに、結婚3周年を機にお互いに感謝を伝え合う様子が、2分20秒の動画に収められました。
この広告の制作にあたっては、育児漫画家の犬犬さんをはじめ、SNSで人気のクリエイター3名がCM内の夫婦間の家事における“あるある”を提供しています。

花王 ハミング消臭実感 共働き夫婦のおもいやり気づけてない問題 動画広告
今回のCM公開にあたり、花王の担当者は「普段から“ありがとう”を伝えることは、夫婦間においても大切なことだと考えています。ハミングとして、“ありがとう”を伝え合うきっかけを少しでも作れたらという想いから、今回のプロジェクトを始めさせていただきました」とコメントしています。
自治体プロモーション「#鳥取家族」と『クリエイターズ・ファイル』が再びコラボ

鳥取市のシティプロモーション「#鳥取家族」と「ロバート秋山の『クリエイターズ・ファイル』」がコラボし、「CHARMY♥K(チャーミー♥ケイ / イリュージョニスト)」が登場する2本の動画を7月末に公開しました。鳥取市の深澤義彦市長が出演する前編は、現在22万回再生されています。
「#鳥取家族」は、鳥取市が2014年度にスタートした「すごい!鳥取市」キャンペーンの第2弾で、今年度で5年目を迎えます。また、「ロバート秋山の『クリエイターズ・ファイル』」とのコラボは、2023年に続き今回が2度目の実現となりました。

CHARMY♥K(チャーミー♥ケイ / イリュージョニスト)①鳥取市長を瞬間移動させる?!

CHARMY♥K(チャーミー♥ケイ / イリュージョニスト)②アシスタントの暴露で真相が明らかに!
これまでも市民参加型のさまざまなプロモーションを展開してきた鳥取市が、今回のコラボを実施した背景について、クリエイティブディレクターの田中淳一氏は次のように語ります。
「鳥取市の指針として、動画や施策の中で“鳥取市民”を主役にすることを大切にしており、写真家の浅田政志さんと共にさまざまな取り組みを行ってきました。しかし、長年シティプロモーションに携わる中で、市民を主役にした内容はすでに広く浸透しているのではないかという話が出てきました。そこで、市民を主役にしながらも、既に強いファンベースを持つコンテンツとのコラボを模索しました」。
こうして実現したのが『クリエイターズ・ファイル』とのコラボです。第1弾は、鳥取市立桜ヶ丘中学校を舞台にした「ぼっちん君(鳥取市立桜ヶ丘中学校 応援部部長)①攻めろ!泣き虫応援団長」。中学3年生で40代の応援部部長“ぼっちん君”を主人公としたこの動画は、『クリエイターズ・ファイル』のファンからも好評を博し、165万回再生を記録しました。さらに、2023年の年末には紅白歌合戦に“ぼっちん君”が応援キャラとして登場し、鳥取市として大きな盛り上がりを見せました。その結果、今回の再コラボが実現したのです。

ぼっちん君(鳥取市立桜ヶ丘中学校 応援部部長)①攻めろ!泣き虫応援団長
鳥取市では今回、『クリエイターズ・ファイル』のファン層から鳥取市に興味を持ち、宣伝してくれる人を生み出すことを目的に、自治体のシティプロモーションがコモディティ化しつつある中で、より純粋なエンターテインメントコンテンツへと昇華することを目指しました。市民の参加はもちろん、市外の人々にも興味を広げ、感情面での“関係人口”を増やすことを意図しています。
「動画コンテンツへの関心が細分化している中で、1本の動画で多くの人をファンにするのは現実的ではないと考えています。多少ターゲットが狭くても、深く愛してくれるファンを生み出すことを重視したプロモーションを意識しています」と田中氏は語ります。


今回、動画の公開と同時に「鳥取市満喫クーポンがもらえる鳥取市探して!投稿して!得する!キャンペーン」が実施されています。キャンペーンのPRポスターには「CHARMY♥K」を起用し、写真家の浅田政志さんが撮影した鳥取市民とのコラボポスターが制作されました。このポスターに登場する人々は、動画にも出演しています。
さらに、このコラボポスターを撮影しSNSに投稿した先着2万人に、市内の飲食店などで利用できる3000円分の鳥取市満喫クーポンがプレゼントされるという施策で、地域経済の活性化も目指しています。
実際、動画公開直後から鳥取市内のお店に足を運ぶ市民や観光客が増加。この夏は市民や観光客、動画に登場した店主らとの新たな交流が生まれています。
暮らしにまつわるさまざまな価値観を紙面で展開『おくる福島民報』

福島民報は、県外に住む県民に故郷の情報を届ける「おくる福島民報」を、8月21日の福島県民の日に実施しました。
7年目を迎えた『おくる福島民報』。今年のオリエンテーマは「移住」でした。 「地方移住というと、どうしても都会と地方のどちらが豊かな人生かを比べてしまいがちです。しかし、移住を検討する段階でもう少し双方の違いを面白がって話せるような、会話のきっかけになる紙面を作りたいという思いから、チームで企画がスタートしました」と、クリエイティブディレクターの熊谷由紀氏は語ります。
キャッチフレーズは「似ているとうれしい。違うとおもしろい。」。


30段にわたる紙面に広がっているのは、県民を対象にした暮らしに関するさまざまな価値観です。20代から60代の県民計500人が、「Q. 有名になってほしくない福島の良いところは?」「Q. 夏が来た!と感じる食べ物は?」「Q. 宝くじが当たったら仕事を続けるか、辞めるか?」などの質問に回答し、その質問と回答がカラフルなグラフやイラストと共に紙面に展開されています。
「今年は、調査結果という手触りのないものをどう豊かに見せるかを考えました。読み物としての見せ方に、ピクトグラムの記号的な表現と、それぞれのモチーフの色が垣間見えるような絵を加えることで、読者が『へー』と感じながらも、つい目で追ってしまうような紙面を目指しました」と、アートディレクターの小林千秋氏は語ります。
質問の内容については、スタッフ間で議論を重ねて決定したといいます。 「『前の人のカバンが開いていたら教えるかどうか』『今年いちばん買って良かったものは?』など、移住促進サイトには載らない、日々の暮らしでちょっと気になる思考やムードをあぶり出せる項目を選びました。しかし、結果は予想通りにはならず、自分自身が地方に対して固定化したイメージを持っていたことに気付かされました」と、熊谷氏は振り返ります。

2018年にスタートした『おくる福島民報』は、新聞を折ってテープで留めるだけで郵送できる形状になっています。これまで「里帰り」「イメージの復興」「離れていてもお帰りなさい」「会う約束をおくる」「観光案内になる新聞」「帰っておいで」といったテーマで、毎年8月21日に発行されてきました。
「毎年の夏の恒例行事として新聞を送り続けてくださる読者も多く、15通送ってくださる方もいます。今年は特に『読み応えがある』という反応が多く、県外の友人に『こんな県だよ』と紹介代わりに送ったという声もありました。ふるさとを懐かしむだけでなく、新しい福島の魅力発信にもつながればと思っています」と熊谷氏は語ります。
また、8月21日の県民の日に合わせ、福島民報社は福島県福島市の観光物産館「コラッセふくしま」と郡山市の商業施設「モルティ」1階に『おくる福島民報』のブースを設け、来場者が県内外に住む家族や友人に新聞を贈れるようにしました。