ブレーン主催オンライン動画コンテスト「BOVA(ボバ)」で一般公募部門グランプリをロッテ「クーリッシュ」の課題作品「Let ‘s ギューリッシュ」が受賞しました。その制作の裏側を覗いていきたいと思います。
誰もが“ イラっ” とする瞬間を表現

本動画は冷凍庫から出てきた少年が「ストレスフルな皆さーん。怒りのエネルギーで、クーリッシュをギューッと握って、揉んで、飲みやすくしてみませんか?」と呼びかけるアニメーションから始まります。
やがて舞台は、短尺のドラマが8 本連なるメインのパートへ。日常で遭遇したら“イラっ”としてしまうようなストーリーがテンポよく段積みで展開されていきます。

デートらしき現場で女性をじっと見つめ「俺検定、合格」とナルシスト風に言い放つ男性、母親に「それってあなたの感想ですよね?」と口答えする生意気な子ども、フリマアプリのような画面で「もっと(値段を)下げた方がいいと思いますよ?」と強気なメッセージを送るユーザー、差し入れのクーリッシュを馴れ馴れしく頬に当ててくる先輩などが次々と登場し、思わずクーリッシュをギュッと握りしめたくなる、という日常の怒りをクスッと笑える表現で演出しています。
ただイラっとさせるのではなく、笑いに昇華させるようなバランスを意識

動画を制作したのは、BBDO J WEST のプランナー/コピーライター 村上るり子さんと、ワンダーランドハウスのプロデューサー 泊香澄さんを中心とするチームです。
ロッテの課題は「『クーリッシュ、チョー飲みたい』そんな気持ちになる動画」。「せっかく自由にクライアントワークができる場なので、自分にも馴染みがあり、アイデアを広げやすい商品を選びました」と村上さん。
商品の特性から「おいしい、持ち運びに便利で、手軽に飲める、という点は広く知られています。一方、冷凍庫から出した時にはまだ固くてすぐに飲めないという実体験があり、そこからクーリッシュを思い切り握って飲みやすくする企画を考案しました」。
ドラマパートは全部で8種類。話し相手の相槌の間に違和感を抱く場面や、後輩の態度がちょっと鼻につく瞬間など、日常でも起こりそうなシーンが展開されています。「ただイラっとさせるのではなく、笑いに昇華させるようなバランスを意識して何度もシチュエーションを再考しました。BOVAでは雰囲気のあるドラマタッチのものが多いので、あえてバラエティ番組の再現VTR のようなトーンにしています」(泊さん)。
今回のBOVAへの応募にあたり、村上さんは過去の受賞作品を研究しつつ、これまでにないようなアプローチを目指したそうです。そのひとつが、冒頭と終盤に入る、少年が登場するアニメーション。「長尺動画は面白くないと飽きられてしまう」という懸念があったため、アニメを交えキャッチーさを加えています。
表現面では「違和感を出すこと」を重視されています。長く伸びる腕や、突然大きくなる顔など、不思議な動きを見せることで「これから面白いものが始まるのでは」という期待感を醸成しています。それに加え、オンライン動画の特性を活かし、商品を持って視聴できる構成に仕上げています。締めくくりの場面では、「にぎって もんで のむアイス、クーリッシュ」と商品訴求に繋げています。