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2024.7.2

6月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2024)

2024.7.2

6月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2024)

7月には、地元で毎年恒例のお祭りが開催されます。祭りの賑わいを楽しみながら、美味しいお酒を片手にゆったりと過ごすのは、至福のひとときですね。今年も飲むぞー

それでは今月も話題になったサービスやトレンド・デザインをご紹介いたします!

「今宵、どうぞお好きなように」サントリー碧Ao

サントリーは、新たに「SUNTORY WORLD WHISKY 碧Ao」とミュージシャンの椎名林檎さんがコラボレーションしたWebムービー「今宵、どうぞお好きなように」篇を、サントリー公式YouTubeチャンネルにて公開しました。このムービーでは、ウイスキー「碧Ao」の魅力を、監督の児玉裕一氏による特別撮りおろし映像で美しく表現しています。

楽曲には、同日に発売された椎名林檎さんのニューアルバム『放生会』に収録されている新曲『茫然も自失』が使用されています。また、椎名さんが考案したコピーと、彼女の独自の世界観をこれまで共に創り上げてきたクリエイターたちが加わり、「碧Ao」の魅力をより一層引き立てています。

https://www.youtube.com/watch?v=xu2NVjAY8d4&t=1s

「SUNTORY WORLD WHISKY 碧Ao」は、同社の蒸溜所で造られる世界5大ウイスキー(アイルランド、スコットランド、アメリカ、カナダ、日本)の原酒のみをブレンドしてつくられたウイスキーです。それぞれの原酒の特長を生かしたハイボールの作り方や、さまざまな香りや味わいを引き出す飲み方を提案しており、2022年からは俳優の岡田将生さんとKing Gnuの井口理さんを起用したテレビCMも展開していました。

今回のコラボレーションでは、椎名林檎さんがこれまでの作品で描いてきた「自由」と、世界5大ウイスキーをブレンドするという「碧Ao」のウイスキーの常識にとらわれない発想が融合しています。椎名さんが考案した「おもしろおかしく生きたいね」「人生を、敢えて割り切らない」「今宵、どうぞお好きなように」というコピーと共に、「碧Ao」の魅力を描き出しています。

Webムービーの公開にあわせ、新宿駅メトロプロムナードでは全長約50mにわたって6パターンの広告を掲出しています。椎名林檎さんのコピーと相まって、世界観を表現した美しいビジュアルが特徴的です。この広告は、「碧Ao」という本物の商品だからこそ実現できる表現手法です。私自身も、このような魅力的な広告を手がけていきたいと強く思わされました。

菅田将暉が歌う♫クロネコヤマトの宅急便~、新CMのテーマは「カーボンニュートラル配送の宅急便」

ヤマト運輸は、菅田将暉さんをキャラクターに起用し、新CM「宅急便カーボンニュートラル配送『やさしい』」篇、「宅急便カーボンニュートラル配送『本気』」篇、「宅急便カーボンニュートラル配送『新しい常識』」篇の3本を、環境の日である6月5日に公開しました。

宅急便カーボンニュートラル配送『やさしい』篇のカット

新CMは、スタジオでヘッドホンを付けた菅田さんが歌うシーンから始まります。この菅田さんが歌う曲は、これまでの宅急便のCMで親しまれてきたサウンドロゴ♫クロネコヤマトの宅急便~。今回のCMでは、このサウンドロゴを約15年ぶりに復活しました。

https://www.youtube.com/watch?v=Rfc4VQ-gH-Q&t=1s

ヤマト運輸は、「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」という環境ビジョンを掲げています。これは、物流業界での温室効果ガス排出をゼロにするという大きな目標を持って、持続可能な未来に貢献しようとする計画です。具体的なアクションとして、2024年1月30日には、ヤマトの配送サービスである「宅急便」や「宅急便コンパクト」がカーボンニュートラル(炭素排出量が実質ゼロ)を達成しました。

この新しい「カーボンニュートラル配送」の認知を広めることが、今回のCM作成の大きなテーマになっています。そのために、ヤマト運輸はどのようなコミュニケーション戦略が効果的かを考えました。そこでクリエイティブチームは、♫クロネコヤマトの宅急便~というサウンドロゴを、「クロネコヤマトのカーボンニュートラル配送の宅急便」として再収録することで復活させ、「6秒」を中心に、コミュニケーションのすべてを設計することを決めたそうです。

通常、マスコミュニケーションでは、テレビCM(15秒)の企画を考えて、Webバンパー(6秒)などのデジタル素材は、テレビCMをカットダウンしてつくることが多いと思います。ある意味、テレビCMを最重要視視したクリエイティブ開発といえます。それを今回は逆転させて、6秒という認知獲得に効く秒数を、クリエイティブの一番重要な単位にして、表現しています。

CMのみならず、グラフィックでも菅田さんが歌う姿とサウンドロゴの楽譜、そして、「カーボンニュートラル配送」のロゴをフィーチャーしています。サウンドロゴをメインにした企画ということもあり、それが一枚の絵でも伝わるように、穏やかな表情で歌う菅田さんを優しく温かみのあるトーンで表現されています。ロゴだけでなく楽譜もレイアウトすることで、『カーボンニュートラル配送』を音とロゴのセットでより多くの方に認知してもらえるよう制作してあります。
いろんな角度からのコミュニケーションが設計されており、シンプルなクリエィティブですがその奥には、十二分に考えられたデザインが潜んでいる広告だと感じました。

子育て家庭の「あるある」を30個詰め込んだカロリーメイト リキッドのWebムービー

大塚製薬は、「カロリーメイト リキッド」のWebムービー「騒がしくて愛おしい朝」篇を公開しました。
本ムービーでは、子育て家庭の中で朝の支度時に同時多発的に起こっている突発的な家事を象徴的に表現しています。ドライヤーで体操服を乾かしたり、遊びに夢中になって牛乳がこぼれたり、ゴミ箱の中から迷子になったスマホが出てきたり……、子育て家庭であれば「あるある」な出来事が、ムービーの中で次々と映し出されています。

https://www.youtube.com/watch?v=amqODvXEm14&t=1shttps://www.youtube.com/watch?v=amqODvXEm14&t=1s

これは2023年にSNS上で多くの話題を集めた新聞広告のテーマを継続したもので、今年は動画化し、また特設サイトも同時に制作されています。
昨年SNSなどで多くの反響があり、キャンペーン評価調査では70%近くの方に共感していたことが分かっています。そこで、今年も『忙しい共働き家族の朝へリキッドを』という提案をより多くの方にお届けすることになり、同じテーマで手法を変えキャンペーンを実施しています。
『我が家の忙しい朝』について、クリエィティブチームで経験談を話していると、どこの家庭でも非常に似たようなドタバタが起こっていることが分かったそうです。その事実こそが、忙しい共働き家族に『うちだけじゃないんだ』と勇気を与えられるのではと考えて『子育て家庭の朝の過ごし方調査』を実施。調査PRで数字(ファクト)をもとに左脳に訴えかけながら、調査で共感の高かったエピソードをたくさん盛り込んだエンターテインメントで右脳に訴えてかけていく方針でクリエィティブが進められています。
そこで今回は、昨年つくった「忙しい共働き世代の朝を全肯定する」というコンセプトを動画化しています。実際に子育てをしているインフルエンサーや全国の人々から意見を集めた中から出てきた30個のドタバタエピソードを、動画内に詰め込んでいます。

こだわったのは、舞台のディテールにおけるリアリティ感だそうです。小道具含め、実際に子育てしているスタッフが持ち寄って美術をつくりあげています。前半のドタバタを共感ある形で描きながら、後半部では朝に寄り添う製品の存在を『騒がしくて愛おしい、すべての朝に。』というメッセージで結びつけています。
新聞ではできなかった、長女が起きてくるまでの(おそらく)数分間に起こった朝のバタバタをハイスピードで大げさに描いています。それは、とってもテンパっていて、でも愛しくて笑えるエンターテイメントのような仕上がりになっています。ラストのエピソードのエンドロールを入れた演出も、そういったエンタメ性を強調しています。

また特設サイトでは、Webムービーの中に登場する30のネタをアンケート結果とともに紹介されています。

セイコー「時の記念日」新聞広告に大谷翔平

セイコーグループは9日、6月10日の「時の記念日」に合わせて大谷翔平選手を起用した新聞広告を掲載しました。見開き30段の紙面中央に大谷選手を小さく捉えたグラフィックが特徴で、「いまを生きる人が、いちばん強い。」というコピーとともに記念日を知らせています。
今回の広告は、調査を基に考案したものだそうです。調査結果では、“タイパ”という考えが2年連続で生活者の興味の主題となっているそうです。今回の広告メッセージは、そのタイパに対するアンチテーゼという側面があるとのこと。時に関わる企業として『今を悔いなく懸命に生きる』ことをメッセージし、その熱量や革新が未来をつくることを伝えています。

グラフィックには、「SEIKO」ブランドのイメージキャラクターを務めている大谷選手を起用。見開き30段の紙面中央に、バットを構えた大谷選手をズームアウトさせたように小さく写しています。SNSやネットニュースでは、「史上もっとも小さく大谷選手を起用した広告」などと話題になっていました。

「ほろよい」がブランドメッセージ刷新 西野七瀬さんがCMキャラクターに

サントリーは、「ほろよい」のブランドメッセージを「夢中がはじまる。」へと刷新しました。それに伴い、CMキャラクターに西野七瀬さんを起用したCMを制作しています。

新ブランドメッセージ「夢中がはじまる。」は、「ほろよい」が好きなことを満喫する時間をもっと楽しくし、自分時間を思い切り楽しむ際のお供のような存在であることを表現されています。
新しく制作したCM「夢中がはじまる。」篇では、西野さんが自分時間の中で好きなものに思いきり夢中になる様子を60秒ワンカットで撮影されています。また、極力CGを使わず、セットにこだわったということです。

https://www.youtube.com/watch?v=wgiG-k7nem8&t=2s

西野さんが演じる主人公は、自分の好きなことに夢中な多趣味な性格。「ほろよい」の缶を開けた際の‟プシュッ”とした音がスイッチとなり、好きなものに思い切り夢中になる自分時間がスタートします。

今回描かれている“夢中になれる好きなもの”は、「スイーツ」「漫画」「ゲーム」の3つ。西野さんがスイーツを頬張ったあと「ほろよい」の缶を開けると、スイーツのモンスターが現れ、スイーツの世界が広がっていきます。次に、「東京タラレバ娘」を読んだあと缶を開けると、物語からキャラクターが飛び出していきます。最後に、缶を開けてゲームをし始めると、巨大ロボットが登場。その後、3つの世界のキャラクターと西野が笑顔で乾杯しています。
可愛らしくメルヘンで、、、いろんな世界観がミックスされたビジュアルに一発で好きになるムービーです。細かなところまで作り上げられてあるセットは圧巻です。
楽曲には、THE BLUE HEARTSの「夢」を起用。ロックバンド「FINLANDS」の塩入冬湖がカバーし、まらしぃがピアノを演奏していて、この音楽がまた世界観とマッチしていて最高に面白いムービーとなっています。

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