ファッションのECサイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは、2022年にオープンしたリアル店舗「niaulab by ZOZO」(東京・渋谷)を通じて、既存サービスの利用者の増加や新規サービスの開発につなげています。同店舗では販売は行わず、一人ひとりに最適なコーディネートを提案し、「似合う」を研究することが主な目的です。体験者の「ZOZOTOWN」への訪問頻度も1.5倍に増加したほか、購入金額も約2倍に伸長。応募時に会員登録が必要となるため、未会員の顧客の新規獲得につながっています。さらに、この施設で得た貴重な知見を活用し、ファッションコーディネートアプリ「WARE」に新機能を追加、アプリを「WEAR by ZOZO」としてリニューアルしました。
ワクワクできる『似合う』を届ける

『niaulab by ZOZO』は、2022年に表参道でオープンした革新的な体験型店舗です。この店舗では、同社の独自AIとプロのスタイリストが協力して、最適なファッションを提案。ZOZOTOWNで人気のある複数ブランドのアイテムを横断して試着することができます。体験は完全無料で、目的は来店者のデータを研究に活用することです。各訪問者には2時間以上の貸し切り時間が提供され、体験は抽選による完全予約制で行われます。
創業25年を迎えたZOZOは、経営戦略「MORE FASHION × FASHION TECH」に新たなコンセプト「ワクワクできる『似合う』を届ける」を追加しました。同社は、顧客が自分に似合う服を発見することがビジネス成長に繋がると考えています。商品単体の販売だけでなく、「体験を提供すること」が重要とし、顧客が購入前に接点を持つことを目指しています。意識調査で多くの人が自分に似合うスタイルがわからないと感じていることが明らかになり、これを解明するためのラボが立ち上がりました。
体験者のフィードバックを分析することで、「似合う」を構成する四つの要素—「ジャンル」「与えたい印象」「体系の悩み」「味付け」を特定しました。「味付け」とはファッションの複雑さを五つ星で分類するものです。これらの要素を組み合わせることで、個々に最適なファッションを見つける手助けができるとしています。
アプリのリニューアルで研究成果を反映


最近リニューアルされた『WARE by ZOZO』は、ラボで得られた知見を活かし、12種類のファッションジャンルを基にサービスを展開しています。『ファッションジャンル診断』機能では、ユーザーの「好みのジャンル傾向」を144パターンで診断。この診断結果をもとに、ユーザーの好みに近いコーディネートの検索や、ジャンルの組み合わせでの絞り込み検索が可能です。
また、拡張現実(AR)を利用した「WEARお試しメイク」機能も新たに搭載されています。この機能では、ユーザーが自身のフルメイクをARデータとして登録し、登録されたメイクを自分の顔に仮想的に適用することで、様々なメイクスタイルを試すことができます。リニューアル時点で約500種類のメイクスタイルが利用可能で、主に著名なインフルエンサーのスタイルが含まれています。今後はユーザーの投稿を通じてさらに多様なスタイルが追加される予定です。
「ZOZOのラボでは、今後も研究を続け、収集したデータを既存サービスや新規サービスへと活用していく予定です。『似合う』の定義は常に変化しているため、その解明には継続的な研究が必要になっていくと思われます。広報担当者は「オンライン上でも一人ひとりに『似合う』スタイリングやヘアメイクをレコメンドするなど、パーソナライズされた提案の精度を高め、よりファッションを楽しめる世界を実現していく」と意気込みを語っていました。