アース製薬の洗口液『モンダミン』が、TikTokを活用した斬新なキャンペーンで大きな成功を収めました。このキャンペーンは、「広告の認知度」、「商品の理解」、「ブランドの記憶に残ること」という3つの重要な指標で、顕著な向上を達成しました。
お口、クチュ、クチュ。モンダミン」CMソングを生かしたTikTok施策

「アース製薬の人気洗口液『モンダミン』が、そのキャッチーなサウンドロゴ「お口、クチュ、クチュ。モンダミン♪」をフィーチャーした楽曲「恋するモンダミン」で、TikTokキャンペーンをスタートしました。この楽曲は、TikTokで人気のあるクリエイターユニット「なかねかな。」が手がけています。キャンペーンが進むにつれ、多くのクリエイターがこの曲を歌い、彼らのパフォーマンスに合わせて参加者がハーモニーを加える「ハモリチャレンジ」も展開。この楽曲は、屋外広告や、コンテンツの世界観を体験できるイベントへと活用されています。
このキャンペーンの主な目的は、『モンダミン』への関与度を一層深めることです。長年にわたるテレビCMの影響で、ブランド認知度は幅広い世代に及びますが、購入者の年齢層は高めで、特に20〜30代の購入が見込めていませんでした。このキャンペーンでは、ブランドをもっと身近に感じてもらうことを狙い、「知ってはいるけれど買っていない」状況を変え、「自分たち向けのブランド」としての興味や関心を引き出し、積極的な使用を促進することを目指しています。
「モンダミン」の“遊び心”でユーザーを巻き込む全体設計

TikTokをキャンペーン施策に選んだのは、ターゲットとなる20〜30代が他のプラットフォームよりも活発に利用していて、過去に実施したTikTokプロモーションでも大きな成功を収めているかとのこと。また主婦層を含む多様なユーザーがこのプラットフォームを使っていることも大きな理由の一つだそうです。
『モンダミン』のキャンペーンでは、長年テレビCMで使われてきたサウンドロゴ「お口、クチュ、クチュ。モンダミン♪」というブランド資産があります。特に、クリエイターユニット『なかねかな。』が2021年に投稿した「モンダミンのCMソングの続きを作って歌ってみた」という内容が注目され、これがキャンペーンのきっかけとなりました。企画の主要なフェーズとしては、最初に『なかねかな。』による楽曲制作を行い、次に多くのクリエイターが参加してハーモニーを加えるステージを設けています。さらに、このキャンペーンでは「スーパーライク」と「インスタントページ」の機能も積極的に活用されています。
「スーパーライク」は、投稿に添えられる「いいね」ボタンを押すと、通常なら「ハート」が点灯するところ、独自のアイコンを表示させられるほか、ポップアップウインドウを出現させ、ランディングページへユーザーを誘導できる機能です。「恋するモンダミン」では、「いいね」を押すと、「モンダミン」のパッケージを表示させるようになっています。ユーザーからの反応も熱狂的で、「いいねしたらモンダミンが出てきた!」といったコメントが寄せられています。この興味を引く体験は多くのユーザーを魅了し、多くの方が「いいね」をしてみたくなる動機になっています。その結果、投稿は自然と多くのTikTokユーザーの画面に表示されるようになり、このキャンペーンを成功へと導く好循環が生まれています。
『インスタントページ』の活用は日本ではまだ新しい取り組みですが、『恋するモンダミン』キャンペーンでは一般的な商品ページへの誘導を避け、TikTok内で完結する施策のハブページとして利用しています。これは前例の少ない試みですが、ユーザーがキャンペーンに再度触れる機会を提供し、ブランドの印象をより深く残す効果があったと考えられます。
各クリエイターが個性を活かした『恋するモンダミン』の動画を中心に据えることで、ユーザーに楽しみながらブランドを深く理解してもらえたのではないでしょうか。さらに、異なるクリエイターのファンが他の動画を楽しむことで、回遊構造も形成されていました。
結果として、ブランドリフト調査では「モンダミン」の広告認知は26.1%増、商品理解は6.3%増、ブランド想起は10.6%増と、3つの指標で大幅な上昇を記録しています
TikTok動画の世界観を体験型イベントで実現

本キャンペーンでは、クリスマスシーズンに合わせて『恋するモンダミン』を歌える期間限定の“カラオケボックス”をオープンしました。このアイデアは、TikTokユーザーからの「自分も歌ってみたい」というコメントがきっかけで実現しています。参加者はカラオケボックスで曲を楽しむだけでなく、フォトブースで動画の世界観を再現し、その様子を動画に収めてTikTokに投稿するというインタラクティブな体験が可能になっています。イベントには「恋するモンダミン歌ってみた」動画を投稿したTikTokクリエイターも来場し、予想の2倍以上となる220人以上の方が体験する結果となっています。イベント告知のTikTok広告は、既に人気を博していたため、1日限定であったにも関わらず、1000以上の「いいね」を獲得し、大変好意的に受け止められています。
これらキャンペーンは、TikTok for Business Japan Awards 2024で新設された『Creative Category』において、『Best TikTok Creator Collaboration部門』の部門賞に選ばれています。
TikTokクリエイターと企業やブランドとのコラボレーションを実施し、広告目的を達成したキャンペーンとして、非常に斬新な施策だったのではないでしょうか。