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2024.5.30

5月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2024)

2024.5.30

5月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2024)

5月ってこんなに暑かった?と思うほど毎日暑いです。。。なんか毎年言ってる気もしますが。最近少し夏バテ気味なのですが、みなさんも体調には気をつけていきましょうー

それでは今月も話題になったサービスやトレンド・デザインをご紹介いたします!

『亀田の柿の種』の新キャンペーン

亀田製菓が賀来賢人さんを新しい顔として迎え、『亀田の柿の種』の新たなCMをスタートしました。「I カリッと YOU. 柿の種は愛だ。柿の種は亀田。」というテーマのもと、柿の種カラーの衣装でダンスを披露し、新しいイメージを打ち出しています。

https://www.youtube.com/watch?v=oOmcH-D_FXs&t=10s

その背景にあるのは、2023年8月に亀田製菓グループが策定した「中長期成長戦略 2030」です。そこで同グループが掲げたのは、「Better For You (ベターフォーユー)」というパーパス、「Rice Innovation Company (ライスイノベーションカンパニー)」というビジョン、「Kameda’s Craftsmanship (カメダズクラフトマンシップ)」というバリューです。それと共に、同グループのステートメントとなる「NICE!RICE! みんなの願いを実らせる。」も発表されています。

そのビジョンから生まれた第一弾が、「亀田の柿の種」の「I カリッと YOU.」キャンペーンです。「I ♡(LOVE) YOU.」の♡の部分を柿の種が担うことで、柿の種自体が、愛のつまっている商品であることを表現しています。本キャンペーンの特設サイトに掲げられたのは、「柿の種は、みんなへの愛でできている。」という言葉です。
柿の種を始めとしたロングセラーの米菓への熱烈なファンがいます。 また作り手である亀田製菓内の様々なレイヤーの方にもお米への愛、人への愛、製品への愛が強いとのことです。
作り手、受け手、この稀有な双方向の愛情を広告で伝え、より固い絆に変えていけないかと考え、『I カリっとYOU』というキャンペーンを提案しているそうです。

花王「家族と愛とメリット」

花王のヘアケアブランド「メリット」の新たな広告シリーズ「家族と愛とメリット」が、そのユニークなアプローチで注目を集めています。このシリーズでは、娘が自転車に乗る練習をする様子と、支える父親の姿が愛情深く描かれています。娘が何度も転びながらも一人で乗れるようになり、最終的には父を振り返らずに自由に前へ進む姿は、親子の成長とその切なさを象徴しています。

https://www.youtube.com/watch?v=SwjhXLmTb80&t=15s

このCMは、全編アニメーションで表現され、イラストレーターのニシワキタダシ氏による温かみのある画風が特徴です。背景音楽にはエレファントカシマシの『今宵の月のように』を子どもの声でカバーした楽曲が使われ、親子の絆を感動的に彩っています。
従来のドラマチックで情緒溢れる家族CMとは一線を画し、シンプルなアニメーションと子どもの歌を採用することで、新鮮で印象的なイメージを創出。特に、シャンプーシーンの描写はシンプルながらも強い印象を残します。

また、テレビCMではナレーションを控えることで視覚と音楽の表現に重点を置きつつ、JR東日本の主要路線で掲出された車内ポスターでは、親の深い愛情をより詳細に描いており、異なるメディアを通じてメッセージの層を深めています。

遠くまで行ってほしいし、
ずっと近くにいてほしい。
汗だくで走る。
「補助輪なしがいい」と
言いだした娘を支えて走る。
転びまくり、泣きまくり。
これもう無理じゃない?
のあとにふわりと
なんの前触れもなく走りだした。
「やったー!」が遠くなっていく。
もう追いつけない。
手が届かないところまで、彼女は行く。
これからもきっと。
ぼくはいつか
お風呂なんかでほほえみながら
汗だくの今日を大事に思い出すだろう。
家族と愛とメリット

このポスター広告ではできるだけ個人的な文章に見えるようにすること。想像がふくらむように余白を残すこと。Xの投稿文くらいの文字数に近づけること。メリットらしいこと。などに気を配られているとのことです。
広告のローンチ後、SNSを中心に、「全パパママが泣く」といった感動の声や、自身の子どもの成長と照らして切なく感じるといった声も多く寄せられています。

ミツカンの新しい食品ブランド「Fibee(ファイビー)」

ミツカンが新たに発表した食品ブランド「Fibee(ファイビー)」は、健康志向の消費者に向けて「Fibee ラーメン 香味野菜と濃厚みそ」という新商品を市場に投入しました。このラーメンは発酵性食物繊維が豊富で、腸内の善玉菌を増やし腸内環境をサポートすることを強みとしています。
新商品は、全粒粉とオーツ麦を使用した無かんすい麺を採用しており、1食あたり6.6グラムの発酵性食物繊維を含むとされています。また、味の面では、ミツカンがこれまで培ってきた鍋つゆの製造技術を活かしており、深い味わいと香り高い野菜の風味が特徴です。

ブランド戦略としては、健康面のメリットを前面に押し出すことなく、「なんとなく良い」「なんとなく健康そう」という印象を与えることで、消費者のトライアル障壁を低減させるアプローチを採用しています。パッケージやブランディングにおいても、健康感を強調しすぎず、手軽に楽しめる主食としての魅力を前面に出しています。

競合としては、D2Cで成功している完全栄養食ブランドがあり、ミツカンもこれを参考にしながら、シズル(料理の魅力を引き立てるビジュアル表現)を活用して商品のおいしさを消費者に伝えることを強化していく方針です。これにより、新商品の味のバリエーションを拡大することも検討されており、消費者の反応に応じた柔軟な商品開発が期待されています。

名古屋 ナナちゃん人形、人間ドックデビューでスケルトン仕様に

社会医療法人宏潤会が名古屋で開業した新しい健診施設「DAIDO MEDICAL SQUARE」のプロモーションは、目を引く独創的なアプローチを採用しています。このキャンペーンでは、名古屋のアイコンであるナナちゃん人形を使って、がん検診の重要性を啓発しています。ナナちゃん人形を「働き続けてきた51歳のビジネスパーソン」として設定し、人生初の人間ドックを受ける様子を描いています。

この斬新なアプローチは、特に40~69歳のがん検診受診率が低い名古屋市民に対して、健康意識を高める狙いがあります。日本ではがん発症率が高く、多くの人が検診を受けていないという現状に対処するための施策です。ナナちゃん人形がこれまでにも多様な服装で親しまれてきたことから、今回の「カラダが透過するナナちゃん」というユニークなビジュアルは、特にインパクトがあり、話題を呼んでいます。

高さが6m10cmあるナナちゃん人形。

東急エージェンシーのクリエイティブディレクター、加部達彦氏によると、今回のプロモーションは「働く人」にフォーカスした健診施設のアピールポイントとして企画されたとのことです。特に「見たことのないナナちゃんを作る」という点にこだわり、レントゲン検査を模した全身タイツを用いて、視覚的な驚きを提供することで、がん検診の重要性を訴求しています。

このような斬新な広告手法は、視覚的にも記憶に残りやすく、健康への意識を新たにするきっかけとなり得るため、広く受け入れられる可能性が高いです。また、健康診断の普及に対する新しいアプローチとして、他の医療機関にも参考にされるかもしれません。

味の素「食事中のスマホ操作」に物申すステッカー開発

味の素が展開する「飯スマホやめ~い!ステッカー」キャンペーンは、Z世代のエンゲージメントを高める目的で開始されました。この企画は、食事中にスマートフォンを操作する行為、「飯スマホ」にスポットを当てています。この問題に対処するために、若者言葉を使ったユーモアのあるコメントや、さまざまなデザインのステッカーが特徴です。

総数54種類のステッカーは、東京メトロ新宿駅にて7日間にわたって掲出され、合計3800枚がピールオフ広告として貼られました。通行人はこれらのステッカーを自由に剥がし、持ち帰ることができるようになっています。この斬新なアプローチは、公共の場で直接的なインタラクションを促し、特にデジタルネイティブであるZ世代に訴えかける効果的な方法として注目されています。

デザインはゆるかわ、レトロ、コミック風、アメリカン、ネオンなど、多様なテイストが取り入れられており、キャラクター化されたものや文字だけのバリエーションがあります。この多様性はZ世代の個々の好みやアイデンティティを尊重し、彼らがスマートフォンの裏面にステッカーを貼る行動を通じて自己表現をする傾向に対応しています。

このキャンペーンは、単に行動を変えるよう促すだけでなく、飯スマホがもたらす社会的な影響について考えるきっかけを提供しており、特に若者にとって親しみやすい形でこのメッセージを伝えるための工夫がなされています。

焼肉が食べたくなる広告 カルビ・ザブトンなど肉の部位が電車ジャック

創味食品が「創味 焼肉のたれ 二代目」をバズらせるために、クリエイティブな広告戦略を展開しています。東京、大阪、名古屋の電車内をジャックし、さらに日本が誇るお笑いレジェンド、ウッチャンナンチャンをフィーチャーしたテレビCMを打ち出しています。

電車内広告は、異なる28種類の肉の部位名を大きくフィーチャーしたもので、サイズの違いを含めると合計38種類にもなります。これらの広告は、ユーモラスで覚えやすいコピーを掲載しており、例えば「カルビ」を「焼肉の王道、不動の人気を誇るスーパーアイドル」と表現するなど、クリエイティブで面白みのあるアプローチを取っています。
コピーは部位ごとに全て異なり、あれもこれもと広告を見るうちに焼肉を食べたくなってもらうことが狙いだそうです。

さらに、これらの広告はSNSでも大きく取り上げられ、ユーザーからの投稿を通じてさらなる認知拡大に寄与しています。これにより、広告の創造性とともに製品自体もより多くの人々に親しまれることに繋がっているようです。創味食品のこの広告戦略は、目を引くビジュアルと記憶に残るメッセージで消費者の関心を引き、製品の魅力を効果的に伝える優れた例と言えるのではないでしょうか。

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