コロナ禍を経て、OOHを取り巻く環境は大きく変化しました。人々が街に戻るにつれOOH市場も回復しつつありますがが、急速に浸透したデジタルシフトの影響は、生活者と企業の双方に変容を強いています。そんな情勢の中、これからのOOH施策×SNSについてに考えていきます。
リアルメディアの可能性を考える

コロナ禍が明け、人流の回復に従って、屋外広告や交通広告への注目度が日々高まっています。生活のデジタルシフトにより、人々が気軽にSNSで情報発信を行うようになったことで、OOHも従来式の「偶然、見た人にだけ伝わる」かたちではなく、撮影・共有されることで、デジタルの世界にて一気にバズの中心になるケースも増えてきました。話題の中心になり得るメディアとしてのOOH。そして、OOHの持つ広告力をエンパワーメントするSNS。この『人に伝えたくなるメディアとしてのOOH』と『SNSマーケティングの知見』が噛み合うと、新しい体験設計ができるのではないでしょうか。
OOHには、『外に出て偶然出会う広告』としての存在感があります。メディアがデジタル化を進めるほどに、どんどんパーソナライズ化が進んでいくのは避けられないことですが、それは無駄がなくなる反面、『外部から得られる刺激が既知のものばかりになっていく』という危険性もあわせ持っています。OOHは広告の中でもパブリックな性質があり、偶発性もある面白いメディアです。そこにSNSの爆発力が組み合わせることでOOHの可能性はより大きくなっていくと感じています。
デジタル施策をやり尽くしたブランドがOOHに目を向けている

コロナ禍以後、リアル空間で開催されるイベントや、実際に見に行けるOOHの需要は増加の一途を辿っています。それに加えて、ここ数年で急成長を遂げたSNSを取り巻く環境は、戦国時代のように複雑化し、通り一遍の方法では充分な効果を挙げられなくなってきています。だからこそ、OOHとSNSのしっかりとした連携が必要だと言えます。
また、面白い逆転現象として、「デジタルからリアルへの流入」があります。Instagram発のブランドやデジタルサービスを提供していた会社が、より多くのユーザー認知を求めてOOH出稿を始めているといいます。そうした、これまでにない商材や業界がOOHに進出してきたときに障壁になるのが、数値計測の部分になってきます。デジタルの業界で成長を遂げてきた企業を満足させる精度のKPIを採ることは、OOH単体では難しい状況です。ただ、実際は効果が可視化できないのではなく、検証方法が統一されていなく、OOHの定量的な効果検証においては、例えばプログラマティックOOHでは事前にさまざまなセグメントによるプランニングが可能であったり、事後には到達人数の数値化も可能になってきています。
企業からの一方的な発信や宣伝が届きにくくなっている昨今では、ソーシャルメディアを見越したマーケティングを行うことで、生活者とともにブランドを育てていくことが最適解になりつつあります。偶発的な出会いを提供し、話題の中心となり得るOOHは、SNSの力を借りて波及していくことで、さらなるコミュニケーションを生み出せる大きな武器になることは間違い無いです。