_ ON DESIGN KNOWLEDGE

On design knowledge

トレンド

2026.8.31

8月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2026)

2026.8.31

8月話題になった広告、デザイン、サービスまとめ(2026)

8月はさらば青春の光の単独ライブや千鳥、みなみかわさんなどたくさんのエンタメにふれることができました。その中でも8月のエンタメで話題になったのがちいかわの映画です。このちいかわの映画をなんと4回もみました。いや、みさせられました。ハァッ!ハァッ!ハァッ!!!
ほんと、素敵な映画でした!
それでは今月も話題になったサービスやトレンド・デザインをご紹介いたします!

「出会い」ではなく「一歩」を描く。TinderのZ世代向けブランド戦略

マッチングアプリ「Tinder」はZ世代向けイベント「MATCH FES 2026」の開催発表にあわせ、新たなブランドキャンペーンをスタートしました。
キャンペーンでは、Z世代を代表するアーティスト・LANAさんが書き下ろした楽曲を使用したブランドムービーを公開。LANAさん自身も出演し、YouTube、Instagram、TikTokなどで配信されています。

「おい、わたし。わたしを、持て余してないか?」LANA 篇

今年のブランドメッセージは、「おい、わたし。わたしを、持て余してないか?」。
一歩踏み出したい気持ちはあるのに、不安や周囲の目が気になって動けない。そんなZ世代のリアルな心情に寄り添うメッセージとして設計されています。
企画を担当したクリエイティブディレクター/プランナーの林苑芳氏は、今回のプロジェクトについて次のように語っています。
「恋愛だけでなく、趣味や推し活、学びなど、あらゆる”出会い”を応援するブランドとして、Z世代にどう語りかけるかがテーマでした。Tinderらしい、ワイルドで大胆、そして少し挑発的なアイデアを求められ、とてもワクワクしました。」

制作チームの平均年齢は29.3歳。Z世代に近いクリエイターたちが中心となり、当事者ならではの視点で企画を組み立てています。
一般的なマッチングアプリの広告では、「新しい出会いの素晴らしさ」が描かれることが多いものです。しかし今回のチームは、その表現に少し違和感を覚えたといいます。
「若い世代は、出会いが素晴らしいこと自体はもう分かっています。問題は、その一歩を踏み出す前に、自分自身がブレーキをかけてしまうことではないか、と考えました」と林氏。

新しい友人をつくりたい、新しいコミュニティに飛び込みたい、自分の世界を広げたい――。そんな気持ちはあっても、「どう思われるだろう」「失敗したらどうしよう」と考えてしまい、行動をためらってしまう。その葛藤こそが、今回のコミュニケーションの出発点になっています。

だからこそ重視したのは、企業からのメッセージではなく、Z世代当事者のリアルな言葉でした。

「みんなが正しいと思う言葉ではなく、一人の実感として語られる”n=1の言葉”こそが共感を生み、ブランドの思想になると考えました。Tinderは恋愛のゴールではなく、その過程を楽しむプラットフォームです。成功も失敗も含めて、新しい出会いを面白がれるマインドを伝えたいと思いました」と林氏は話します。

コピーを担当した並木万依氏も、「周囲の目を気にして行動できない。でも本当は、自分の世界をもっと広げたい。そんな若者の葛藤を『おい、わたし。わたしを、持て余してないか?』という言葉に込めました」と説明しています。
さらに、「ノリで生きちゃう?」というコピーには、「少し肩の力を抜いて、一歩踏み出してみよう」というブランドからの後押しも込められています。
グラフィックについて、アートディレクターの矢部翔太氏は、「言葉にならないモヤモヤを、デザインによって輪郭のあるものとして見せることを意識しました」とコメントしています。
映像はYUANN監督が担当。公開後には、「LANAの言葉を信じてみたくなった」「自信が持てた」といったコメントが寄せられるなど、多くの共感を集めました。

ブランドキャンペーンと同時に発表された「MATCH FES」は今年で3回目。「あのコが、アイツが、やりたかったことぜんぶやるフェス。」をコンセプトに、若者が新しい出会いや挑戦へ踏み出すきっかけをつくるイベントとして開催されます。

またLANAさんのスペシャルライブをはじめ、アーティストやクリエイターによる企画を実施。初日の応募数は過去最高を記録しました。

さらに渋谷を中心にOOH広告も展開。ブランドムービー、SNS、交通広告、リアルイベントを横断しながら、「行動するきっかけ」そのものをブランド体験として設計しています。
「出会い」を売るのではなく、「一歩踏み出す気持ち」に寄り添う。そんなブランドの姿勢が一貫して伝わる、Z世代コミュニケーションの好事例といえるでしょう。

演出しないから心が動く。ポカリスエットが描く高校生の日常

大塚製薬はポカリスエットの新プロジェクト「365日、学校の片隅で。」をスタートしました。
このプロジェクトは、学校内にポカリスエット専用の自動販売機と複数のカメラを設置し、その場所に自然と集まる生徒たちの姿を1年間にわたって記録・発信していくというもの。最初の舞台となるのは、岡山県立東岡山工業高等学校と、西武学園文理中学・高等学校です。

同日には、Webムービー「THE BEST OF 365日、学校の片隅で。VOL.1」も公開されました。

新学期が始まったばかりの東岡山工業高等学校を舞台に、自販機の前で交わされる何気ない会話や笑顔、汗をぬぐう仕草、水分を求める瞬間など、高校生たちの日常がありのままに映し出されています。

ポカリスエットWeb movie|THE BEST OF【365日、学校の片隅で。】VOL.1

本プロジェクトについて、大塚製薬 ニュートラシューティカルズ事業部 宣伝部の嶋田多江子氏は、「ポカリスエットのブランド体験を、中高生たちの心と身体に残していくこと」を目的としていると語っています。
企画・制作に携わったドリルのコピーライター・藤曲旦子氏は、その背景を次のように振り返ります。

「ポカリスエットを中高生の日常に置く。AIによって誰でも表現ができる時代だからこそ、予測できない人間のおもしろさや、日々を追うことで見えてくる変化、そして嘘のない”渇き”を残したいという想いから始まった企画です。
『人の可能性を信じる。』をキーメッセージに、実在する岡山の高校へポカリ専用自販機と3台のカメラを設置しました。演出を加えないからこそ見えてくる日常の尊さがあり、狙って撮れるものではない瞬間ばかりです。やっぱりリアルは強いですね。」
ポカリスエットはこれまでも、部活動や学校生活、挑戦する若者たちの姿を通してブランドメッセージを発信してきました。

一方、今回のプロジェクトでは、学校の片隅にある自動販売機という何気ない場所を起点に、高校生たちの日常へさらに近い距離から寄り添っています。ドラマチックな演出ではなく、ふとした表情や会話、仲間との時間そのものをブランド体験として描いている点が印象的です。
日々の様子は、ポカリスエット公式X、Instagram、TikTok、大塚製薬公式YouTubeに加え、専用Instagramアカウント「365日、学校の片隅で。」でも継続的に発信されています。西武学園文理中学・高等学校での記録は、夏以降に公開される予定です。
情報があふれ、演出されたコンテンツが増える今だからこそ、「何も演出しない」という選択がかえって新鮮に映ります。ブランドを語るのではなく、人の日常を丁寧に見つめる。その積み重ねが、ポカリスエットらしいブランドの世界観を自然と伝えている好事例といえるでしょう。

ブランドは”好き”を届けるメディアになれる。PLAZAが創刊した『ププレス』

スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニーは、“好き”を発信するライフモチベートメディア『ププレス』を創刊しました。
創刊号は5月29日から、PLAZA対象店舗でフリーマガジンとして配布を開始。あわせて、一部コンテンツはWebでも公開されています。
『ププレス』が掲げるテーマは、「”HEARTS UP!”に生活するためのヒントを探す」。

タレントやクリエイター、文化人だけでなく、PLAZAのお客さまや店舗スタッフまで、さまざまな人たちの”好き”にフォーカスし、自分らしく楽しむヒントを届けるメディアとしてスタートしました。

創刊号の表紙と巻頭を飾るのは、クリエイター・モデルのkemioさんと祖母・かずこさん。雑誌では初共演となる2人が、自分らしさを貫いてきた歩みや、その背景にある家族との関係について語っています。
そのほかにも、シンガーソングライターのCharaさん、Da-iCEの工藤大輝さん、芸人・作家の又吉直樹さんなど、多彩なゲストが登場。コスメやお菓子、ファッション、キャラクターなど、さまざまなジャンルへの”偏愛”を語る「偏愛関係」など、読み物としても楽しめるコンテンツが並びます。

今回の創刊は、PLAZAの60周年アニバーサリーキャンペーン「好きって、あなただ。」の一環としてスタートした取り組みです。
1966年の1号店オープンから60年を迎えた同社は、「HEARTS UP!」をブランドスローガンに掲げ、日常の心拍数を少しだけ上げてくれる”ライフモチベートブランド”を目指しています。

また、SNSを通じてコミュニティが広がり、一人ひとりの”好き”が多様化する時代だからこそ、PLAZAの価値観とお客さまの価値観が出会う接点をもっと増やしていきたいという考えも、このプロジェクトには込められています。
今後は10月に、数多くのブランドユニフォームを手がけてきたデザイナー・石川裕太氏による店舗スタッフ用ユニフォームのリニューアルも予定。そのほか、60周年を記念したコラボレーション企画や限定商品の展開も順次予定されています。
商品を紹介するだけではなく、ブランドの考え方や価値観を”編集”して届ける。『ププレス』は、そんなブランドメディアの役割を改めて感じさせてくれる事例といえるでしょう。

観光地を”冒険の舞台”に。『FINAL FANTASY』で描く福島ブランディング

JRグループは、4月から6月末まで開催された「ふくしまデスティネーションキャンペーン」の一環として、『FINAL FANTASY』シリーズの世界観を取り入れた観光プロモーション「FUKUSHIMA FANTASY」を展開しました。

全10 種のポスター。現地に何日間も張り込んで撮影した写真も。

シリーズを開発・販売するスクウェア・エニックスの監修のもと、「日中線しだれ桜並木」や「あぶくま洞」など福島県内の名所を舞台にしたポスター全10種類とプロモーション動画を制作。全国のJR各駅で掲出されたほか、福島県内ではJR東日本による『FINAL FANTASY』の人気キャラクター「チョコボ」のスタンプラリーも実施され、多くの観光客を呼び込みました。

このプロジェクトは、JRグループをはじめ、福島県や市町村、地域の観光事業者が一体となって、福島の魅力を新しい切り口で発信するために企画されたものです。

クリエイティブディレクターを務めたジェイアール東日本企画の榎本聖之氏は、企画の背景について次のように語っています。
「福島には幻想的な絶景が数多くあります。しかし、景色を紹介するだけでは、数ある観光プロモーションの中に埋もれてしまいます。だからこそ、見た人が『ここへ行ってみたい』と思える”物語”が必要だと考えました。」
そこで生まれたのが、「旅行者がRPGの主人公になる」という発想です。

旅人をプレイヤー、移動を冒険、観光地をダンジョンに見立て、ゲームの主人公のような衣装をまとった家族が福島を巡るストーリーを描きました。単なる観光地紹介ではなく、自分自身が物語の主人公になれるような世界観を設計しています。
『FINAL FANTASY』らしさを表現するため、衣装や登場人物の構成、ロゴや書体のデザインまでスクウェア・エニックスと細かく調整。さらに、現代的な建物が映り込まないロケーションを選ぶことで、異世界を旅しているような没入感を演出しました。
コピーにも世界観へのこだわりが感じられます。
「無言の時間さえ宝物に感じる。旅は魔法だ。」

ゲームらしい空気感を残しながらも、ゲームファンだけでなく、多くの人の心に届くよう日常的な言葉で構成されているのが印象的です。

Back all