講談社は、漫画『頭文字D』の連載30周年を記念し、作中に登場する自動車メーカー7社と連携した屋外広告(OOH)を、渋谷駅構内に掲出しています。
競合関係にある複数の自動車メーカーが、ひとつのビジュアルに並んで登場するという異例の企画に、SNS上でも大きな反響が集まりました。公式X(旧Twitter)での告知投稿は、公開からわずか7時間で約1.7万件のいいね、約5,500件のリポストを記録しています。
掲出されたのは、全長約22メートルにおよぶ大型グラフィック。「#クルマが好きでよかった」というコピーを掲げ、作品とメーカーがそろって“クルマ愛”を宣言するような内容です。
「できたら素敵。でも難しい」から始まった企画
参加しているのは、スズキ、スバル、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、マツダ、三菱自動車の7社。
企画・制作を手がけた博報堂のクリエイティブディレクター・嶋元司氏は、「正直、できたら素敵だけど、かなり難しいのではと思いながらのスタートでした」と振り返ります。
それでも実現に至った背景には、『頭文字D』という作品が長年にわたって築いてきた信頼と、メーカー各社とのリスペクト関係がありました。
企画の出発点は、「どのメーカーのクルマが好きな人でも、一緒に盛り上がれる瞬間をつくりたい」というシンプルな想い。クルマそのものと、クルマを愛する人たちを肯定してきた作品性が、今回のコラボレーションを後押ししました。

“どのクルマに乗っていても、自分ごと”
OOHの左側には、作中に登場した各社の車両がイラストで並びます。
スズキ「カプチーノ」、スバル「インプレッサ」、トヨタ「SW20 MR2」、日産「BNR34 GT-R」、ホンダ「NSX」、マツダ「B6 ユーノス・ロードスター」、三菱自動車「CN9A ランサーエボリューションIV」。いずれもファンにとって思い入れのある名車ばかりです。
大きく配置された「#クルマが好きでよかった」というコピーに呼応するように、左端には「私たちもです」という一文が添えられ、その下に7社の企業ロゴが横並びで配置されています。
「車両もロゴも、サイズや順序に差をつけないことを大切にしました」と嶋元氏。
社名・車名は五十音順で並べ、どのメーカーのファンでも“自分の話”として受け取れる構成を意識したといいます。
中央には、作者・しげの秀一氏による描き下ろしイラストも掲載。しげの氏が新たに『頭文字D』のイラストを描き下ろすのは、約11年半ぶりとなります。



「つなげて完成する」新聞広告も
OOHに加え、朝日新聞・読売新聞の朝刊には、それぞれ15段広告を掲載。
2紙を横に並べることで、「プロジェクトD」のメンバー3人とその愛車がそろう、ひとつのビジュアルが完成する仕掛けになっています。
新聞広告は全10種の特別仕様で、作品の舞台や登場車種にゆかりのある地域ごとに内容を変更。群馬県版では、藤原拓海の父・文太とインプレッサを加えた限定ビジュアルが展開されました。
さらに、作中でバトルが描かれた8県では「プロジェクトD遠征バトル広告」も実施。こちらも2紙を“つないで完成する”構成となっています。


メーカー公式アカウントも“作品の言葉”で応答
Xでは、OOHと連動した「#クルマが好きでよかった」投稿キャンペーンも展開中。
公式アカウントをフォローし、クルマへの想いを投稿すると、抽選でしげの氏のサイン入りポスターが当たる企画です。
告知投稿には、スバルやホンダ、三菱自動車など、参加メーカーの公式アカウントも反応。作中の名セリフを引用した投稿には、ファンから多くの共感コメントが寄せられています。
競合を越えて並ぶことで、あらためて浮かび上がる“クルマが好き”という共通言語。
作品とメーカー、そしてファンを横一列でつないだ今回の広告は、30年という時間を祝うにふさわしい、愛のあるグラフィック施策と言えそうです。

