今年のGWは色々な人にあってきました。学生時代の友人や久しぶりに会う人たち。今年はもっともっといろんな人にあっていきたいと思います!
そして、たくさん飲みに行かないと!
それでは今月も話題になったサービスやトレンド・デザインをご紹介いたします!
[目次]
単語帳を広告に。ミドリ安全が届けた“ご安全に”というエール

安全靴やユニフォームなど、安全衛生保護具を手がけるミドリ安全は、2月16日から22日にかけて、高田馬場駅・早稲田駅・西早稲田駅で受験生応援ポスターを掲出しました。
掲出されたのはB0サイズの大型広告。「大学受験に出るかも? 英単語」と題し、「culprit(原因・元凶)」をはじめ、大学受験で頻出する英単語を紹介する全8種類のポスターを展開しました。掲載する単語は早稲田予備校が監修しており、受験本番直前の最終確認として活用できる内容になっています。

この企画を手がけた電通のクリエイティブディレクター・福西健氏によると、長年にわたり現場で働く人々の安全を支えてきたミドリ安全だからこそ、「受験生の安全も守りたい」という想いから企画がスタートしたそうです。
福西氏は、「受験会場へ向かう動線上に、本番で出題されるかもしれない英単語を掲出することで、最後の確認の場をつくりたいと考えました。少しでもミスなく、安心して試験に臨んでもらいたいというメッセージを込めています」と話します。
デザイン面では、受験生にとって見慣れた単語帳をイメージしたレイアウトを採用。駅構内でも瞬時に内容が理解できるよう、視認性にも配慮されたデザインに仕上げられています。
また、広告全体の根底にあるのが、ミドリ安全が大切にしてきた「ご安全に。」という言葉です。建設・製造・物流などの現場で交わされるこの挨拶には、「今日も無事に、安全に仕事を終えましょう」という願いが込められています。

今回の広告では、その想いを受験生へのエールへと置き換え、「試験本番も、ご安全に。」というメッセージとして表現しました。
企業が持つ本来の価値観を無理なく受験生応援へと結び付けた今回の事例。商品を前面に押し出すのではなく、ブランドらしさを活かして生活者に寄り添うコミュニケーションは、多くの人の記憶に残る広告になったのではないでしょうか。
選手だけがヒーローじゃない。阪神タイガースが描いた“憧れ”のブランディング

阪神タイガースは、阪神甲子園球場で開催される楽天戦にあわせ、新イベント「STADIUM HEROES DAY」を実施しました。
テーマは 「野球を愛するすべての人が、主役になる日。」
このイベントでは、選手だけでなく、球場運営を支えるさまざまなプロフェッショナルにもスポットライトを当て、「ヒーロー」として紹介。子どもたちに野球の魅力をより多角的に感じてもらうことを目指しています。
期間中は、選手たちが限定ユニフォームを着用するほか、小学生以下の子どもを対象に「近本光司選手監修 KIDSグラブ」を各日先着7,000名にプレゼント。さらに、選手との交流イベントや、スタジアムスタッフの仕事を体験できるプログラムなど、球場全体で楽しめる企画が展開されました。


キーカラーには阪神甲子園球場を象徴するグリーンを採用し、ロゴやユニフォーム、各種ビジュアルまで一貫した世界観でデザインされています。公開後には、「阪神ファンでよかった」といった声も多く寄せられました。
今回のコンセプト開発と企画を担当したのは、2024年から阪神タイガースのブランドコミュニケーションを手がけるウェリズムのクリエイティブディレクター・用丸雅也氏です。
用丸氏によると、企画の出発点になったのは、阪神タイガースが大切にしてきた「憧れ」というキーワードでした。
「これまでも『ファミリー』をテーマにしたイベントは開催してきましたが、2026年はその想いを、より明確なコンセプトとして伝えたいというご相談をいただきました。そこで広告表現を考える前に、イベントそのもののコンセプト設計から伴走し、タイガースの皆さんと議論を重ねながら企画をつくり上げていきました。
根底にあったのは、『親世代から子ども世代へ、野球に関わる楽しさや夢を受け継いでいきたい』という想いでした」と用丸氏は話します。
一方で、「憧れ」を一方的に押し付けるイベントにはしたくなかったとも語ります。だからこそ、「誰かが決めたヒーローを見る日」ではなく、一人ひとりが自分だけの憧れを見つけられる日を目指したそうです。
そこで着目したのが、球場には選手以外にも数多くの”ヒーロー”がいるという事実でした。
場内アナウンサー、タイガースガールズ、最高のグラウンドコンディションを支える阪神園芸のスタッフなど、多くのプロフェッショナルが一つの試合を支えています。
「推しを見つけるように、自分だけのヒーローを見つけてもらいたい。そんなコンセプトのもと、イベント全体を組み立てていきました」と用丸氏は振り返ります。



グラフィックでは、それぞれの仕事に向き合う姿と、その人らしさが伝わるポートレートを組み合わせ、一人ひとりの誇りが伝わるビジュアルを設計。単なる職業紹介ではなく、「プロフェッショナルとしてのかっこよさ」を表現することにこだわりました。
一方、ブランドムービーでは、阪神甲子園球場を訪れた一人の少年の視点を通して物語を展開。選手だけでなく、試合を支えるスタッフ一人ひとりの真剣な姿を描いています。
「誰かの挑戦が、誰かの勇気を生み、その勇気がまた次の夢につながっていく。その連なりこそが甲子園という場所を特別にしている」と用丸氏。その想いを、映像を通して自然に感じられる構成になっています。
さらに、「親世代が感じてきた野球の熱と、子どもたちが初めて触れる球場の空気。その二つが重なったとき、自然と親子の会話が生まれるようなイベントになれば」と語っています。
イベントだけで終わらせるのではなく、ブランドの価値観そのものを体験として届ける。今回の「STADIUM HEROES DAY」は、野球観戦の枠を超え、ブランドコミュニケーションのあり方を考えさせてくれる好事例といえそうです。
3.11に届けた一冊のアルバム。ゆずが新聞広告に込めたメッセージ

人気アーティスト・ゆずは、3月11日付の読売新聞、朝日新聞、河北新報、福島民報の朝刊4紙に全面広告を掲載しました。
東北エリアを含む新聞各紙で展開された今回の広告は、同日発売のニューアルバム『心音』と、東日本大震災から15年という節目の3月11日を重ね合わせたプロモーションです。
読売新聞と朝日新聞には、宮城県石巻市・トヤケ森山で早朝に撮影されたアルバムジャケットを大きく使用。「ゆず 心音」「3.11」、そして 「『生きている』というかわりに ぼくらは歌を送り出す」 というコピーが静かに配置され、作品と日付、その意味を印象深く伝えるビジュアルとなっています。

一方、河北新報と福島民報では同じデザインをベースにしながら、アルバム収録曲「幾重」の歌詞を掲載しました。
「幾重」は、NHK仙台からのオファーを受けて制作された、東日本大震災15年の震災伝承ソングです。震災から今日まで積み重ねられてきた15年の日々や想いに寄り添い、それぞれが歩む未来を優しく見つめる一曲となっています。
全国紙と東北の地方紙で表現を変えることで、届ける相手に合わせたメッセージを発信している点も印象的です。
ニューアルバム『心音』には、タイトル曲「心音」をはじめ、「幾重」「手のなる方へ」など全9曲を収録。同日のリリースにあわせて、「幾重」のミュージックビデオもYouTubeで公開されました。
MVの舞台となったのは、1921年に建てられ、東京都の歴史的建造物にも指定されている早稲田のスコットホール。映像監督は、これまでも数々のゆず作品を手がけてきた谷聰志氏が担当しています。
映像には、映画『国宝』の音楽を手がけた音楽家・原摩利彦氏がピアノ演奏で参加。さらに、彫刻家・名和晃平氏による彫刻作品「PixCell」、世界的建築家・丹下健三氏がデザインした椅子、そして彫刻家イサム・ノグチの照明「AKARI」など、時代やジャンルを超えたクリエイターたちの作品が随所に登場します。
それぞれの表現が幾重にも重なり合い、「幾重」という楽曲の世界観を静かに描き出しているのも見どころです。
広告、音楽、映像、それぞれが独立した表現でありながら、一つのメッセージへとつながっていく今回のプロジェクト。発売日を単なるプロモーションの日ではなく、「3.11」という特別な日に重ねることで、作品そのものに深い意味を持たせた、印象的なコミュニケーション事例といえます。
玉露の新しい楽しみ方をデザインする。山本山「YMY」のブランド戦略

「上から読んでも下から読んでも山本山」でおなじみの老舗食品メーカー・山本山は新ブランド「YMY(ワイエムワイ)」を発表しました。
ブランドコンセプトは 「玉露ウェルネス」。
その世界観を体験できるカフェ「YMY GYOKURO TEAROOM」を、玉川高島屋S.C.南館1階にオープンします。

YMYが目指すのは、「玉露の可能性を追求し、忙しい毎日の中で自分を思いやるひとときを届けること」。
ブランドの第一弾商品として、玉露とハーブを組み合わせた5種類の「玉露ハーブティー」を発売。店舗だけでなく、オンラインショップでも購入できるようになっています。

カフェでは、この玉露ハーブティーに加え、さまざまな種類の玉露や、山本山の海苔を使った一口サイズのおにぎり、スイーツなども提供。気軽に玉露の魅力を楽しめる空間として展開されます。

3月27日に行われた発表会には、代表取締役であり十一代目当主の山本奈未氏が登壇しました。
山本氏は、「玉露は1835年、山本山六代目・山本嘉兵衛徳翁によって発明されたものです。玉露には心を落ち着かせるテアニンが豊富に含まれる一方、気持ちを前向きにしてくれるカフェインも含まれています。リラックスしたい時にも、もうひと頑張りしたい時にも寄り添える存在です。今回のブランドでは、そこにハーブを掛け合わせることで、現代のセルフケアという新しい価値へ広げていきたいと考えています」と、新ブランドへの想いを語りました。
「YMY GYOKURO TEAROOM」の営業時間は9時から20時。店舗のオープンに先立ち、3月27日からオンラインショップでも玉露ハーブティーの販売がスタートしています。
約190年の歴史を持つ「玉露」という伝統を受け継ぎながら、その価値を現代のライフスタイルへと再編集する今回の取り組み。老舗ブランドが新しい市場との接点を生み出す、ブランディング事例としても注目したいプロジェクトです。
