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クリエイティブ

2026.2.15

言葉だけで、人を立ち止まらせる。音楽アーティストの交通広告表現

2026.2.15

言葉だけで、人を立ち止まらせる。音楽アーティストの交通広告表現

この春、Mrs. GREEN APPLEをはじめとする音楽アーティストたちが、 渋谷駅や新宿駅などのターミナルで印象的な交通広告を展開しました。 共通しているのは、派手なビジュアルよりも「言葉」そのものを主役にした表現です。

Mrs. GREEN APPLE/歌詞だけを置くという選択

Mrs. GREEN APPLEは、渋谷駅や新宿駅を中心に交通広告を掲出しました。 真っ白な背景に配置されたのは、映画『#真相をお話しします』の主題歌でもある 新曲『天国』の歌詞の一部のみ。
配信リリースに合わせたこの広告は、事前告知を一切行わず、 駅で偶然見つけたJAM’S(ファンの呼称)がSNSに投稿したことをきっかけに広がっていきました。
 情報量を極限まで削ぎ落とし、歌詞だけを置く。 その潔さが、かえって通行人の目を引き、言葉の余韻を強く残しています。新宿駅ではサイネージでも同様に歌詞のみを掲出。 視覚的な演出を抑えた分、「読む」体験そのものが広告になっている点が印象的です。

東京メトロ 渋谷駅構内に掲出された広告。

マカロニえんぴつ/「あなたにも、いて欲しい。」という呼びかけ

マカロニえんぴつは、渋谷駅構内に10周年記念ライブの告知広告「あなたにも、いて欲しい。」を掲出しました。
6月に開催される横浜スタジアム2DAYSライブに向け、 歴代のミュージックビデオ出演者たちが登場するビジュアルを制作。
 “この10年でマカロニえんぴつに出会ったすべての人を、横浜スタジアムへ招きたい” そんな想いが、まっすぐに伝わってきます。
「横浜スタジアムへ向かう駅のホームに、MVの主人公たちが立っている」 という設定も、ライブ当日の情景を自然と想像させる仕掛けです。
本広告を手がけた博報堂の嵐田光氏は、 「ファンが思わず語りたくなる一枚絵」を意識したと語ります。 細部に込められた意味が、ファン同士の会話を生む設計になっています。

渋谷駅に掲出されたマカロニえんぴつの広告。

Vaundy/街全体を巻き込む“発見型”プロモーション

Vaundyは、男性ソロアーティスト史上最年少となる 4大都市ドームツアー「Vaundy DOME TOUR 2026」の開催にあわせ、
 全国規模で広告ジャックを実施しました。
福岡、東京、大阪、北海道、愛知をはじめ、 各地に点在する広告を“見つける”体験として設計。
 街中で見つけた広告を撮影し「#Vaundyドーム」を付けて投稿すると、 抽選でオリジナルステッカーが当たるキャンペーンも展開されました(※VAWS会員対象)。
さらに、SNSに投稿された全国各地の広告写真は特設サイトにも集約。 ファン自身がプロモーションの一部となり、 ツアーへの期待感を高めていく仕組みがつくられています。

言葉、記憶、発見。
 それぞれアプローチは異なりますが、 いずれも「ファンとの関係性」を前提に設計された交通広告である点が共通しています。
情報を一方的に届けるのではなく、 受け取った人が“誰かに話したくなる”余白を残す。
 音楽アーティストならではのコミュニケーションデザインが、 駅という日常空間で静かに、しかし確かに機能しています。

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