2025年も終わりました。今年もいろんな案件をさせてもらいました。独立したことで初めて関われた案件や仕事の幅も広がりました。2026年も学び挑戦し、幅広く好奇心を広げて仕事も遊びも楽しんでいきたいと思います。
それでは2025年最後になりますが12月のサービスやトレンド・デザインをご紹介いたします!
[目次]
「TO YOU. TOYOTA」──“あなた”を起点に再定義されたトヨタのブランド広告

2025年10月、トヨタ自動車は新たなブランド戦略として、センチュリー、レクサス、トヨタ、GR、ダイハツによる5ブランド体制への移行を発表しました。
高級車ブランドのセンチュリーとレクサス、走る楽しさを追求するGR、軽自動車を中心に展開するダイハツ。その中で「フルラインナップ」「マルチパスウェイ」を掲げ、もっとも幅広いユーザーを担う存在がトヨタブランドです。
この新たなスタートに合わせて始まったのが、新タグライン「TO YOU. TOYOTA」 を掲げたブランド広告でした。
今回、5つのブランド広告を同時に展開するにあたり、「それぞれのブランドは完全に独立して考えてほしい」というオリエンテーションが、豊田会長から直接あったといいます。
クリエイティブディレクターの篠原誠氏は、こう振り返ります。
「他ブランドを意識した調整は一切せず、トヨタはトヨタだけを考える。だからこそ、“トヨタとは何者か”を、真正面から掘り下げることができました」
ブランドメッセージのヒントになったのは、会長が繰り返し語ってきた「誰も取り残さない」 という言葉。そこから「Mobility for All」という思想を、より具体的に捉え直し、“All”ではなく、“それぞれの YOU へ向けたものづくり”という考えにたどり着いたといいます。
Japan Mobility Show 2025 に向けた新ブランド広告では、世界中の道を走るさまざまなトヨタ車と、そこに乗る人々の姿が描かれました。「もっといいクルマをつくり続ける」というトヨタの姿勢を、マーケティングではなく、クルマそのもので語る。その象徴として、CMのラストにはジャパンモビリティショーで発表予定のカローラのコンセプトカーが走り出します。
このCM制作では、リアリティを大切にするため、実際に世界中で使われているトヨタ車を一から探すところからスタート。
撮影はオーストラリア、ロサンゼルス、ケニア、タイ、スペイン、日本と、文字通り世界を巡るものになりました。
登場するのは、自家用車だけではありません。パトカーや消防車といった“働くクルマ”、幼稚園バスやタクシー、さらには仕事に合わせてカスタムされたキッチンカーまで。その土地で、人とどんな関係を結んできたかが伝わるクルマ選びが、今回の表現の核になっています。


グラフィックでは、CMに登場した車両に加え、ジャパンモビリティショーで発表予定のさまざまなモビリティも登場。
アートディレクターの塚本哲也氏は、「モビリティを使う“YOU”を、どう生き生きと描くか」を意識したと語ります。
まだ世に出ていないモビリティだからこそ、それがあることで動き出す“人の心や暮らし”を想像しながら撮影を進行。
ほとんどのカットを35mmフィルムで撮影し、クルマと人との関係性を、温度のある動きとして捉えています。
CMやグラフィックに大きく記されたコピーが、新タグライン 「TO YOU. TOYOTA」 です。
コピーライターの藤本宗将氏は、「すべての人に届けようとするよりも、まず“ひとりのあなた”を見つめること。その結果として、すべての人に届くのだと思う」と語ります。
“FOR YOU”ではなく、“TO YOU”。トヨタの思いや技術を、あなためがけて届けていくという強い意思を込めた言葉です。

ブランド広告公開に合わせて、トヨタイムズの生配信も実施。豊田会長や各プロジェクトのクリエイティブディレクターが出演し、大きな反響を呼びました。公開当日のSNS投稿数は約5,000件を超え、ジャパンモビリティショーのトヨタブースにも多くの来場者が訪れています。
“誰かひとりのため”を起点に、世界へ。トヨタらしい思想を、真正面から伝えるブランドコミュニケーションとなりました。
佐賀県民の声がそのままコピーに。『ゾンビランドサガトレイン』の仕掛け

佐賀を舞台に、アイドルとして奮闘する7人の少女たちを描いたオリジナルアニメ『ゾンビランドサガ』。
その劇場版『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』の公開に合わせて、約3週間、福岡市地下鉄 空港線・七隈線で電車ジャック「ゾンビランドサガトレイン」が運行されました。



車内のテーマは、ずばり「佐賀まみれの電車」。中づり広告には、「唐津駅前のロータリーのとこ、ちゃんと再現されてた。」「子どもの頃によく行ってた万両食堂。作中では銃撃されてて笑った。」など、10〜60代まで幅広い佐賀県民によるリアルな感想コピーが31種類並びました。
さらに、佐賀県内の企業9社とアニメキャラクターがコラボしたタイアップ広告も展開。作品世界と“実在の佐賀”が、車内で自然につながる構成になっています。
これらのコピーの元になっているのは、約1カ月半にわたって集めた200人以上の県民の声。インタビューやアンケートを通して集められた感想の中から、作品をしっかり観た人だからこそ出てくる、熱量の高いコメントが選ばれました。
広告制作を担当したスタッフは、「“わかった風”にならないことを大切にしました。佐賀県民が見て『そうそう、それ!』と思えるリアルさを優先し、あえてニッチなコメントも積極的に採用しています」と話します。
たとえば、佐賀の秋の風物詩「唐津くんち」に絡めた「シーズン2の最終ライブ、唐津くんち4回分くらい人おる。」
といったコピーは、県民なら思わず頷いてしまう一文です。



掲出後はSNS上でも反響が広がり、「期間中に10回以上見に行った」「コピーがいちいち刺さる」といった声のほか、運行情報を自主的に調べて共有するファンの投稿も見られました。
作品への愛と、地域への解像度の高さがそのままコピーになった今回の電車ジャック。ファンと地元、両方の心をしっかりつかむ、ローカル×コンテンツの好例といえそうです。
ハンバーガーを、アートとして味わう。「マクドナルド美術館」という発想

日本マクドナルドは、定番メニューを“絵画作品”として表現したグラフィック広告を、全国の店舗内で展開しています。
コンセプトは「マクドナルド美術館」。来店した人に、“食欲の秋”と“芸術の秋”を同時に楽しんでもらいながら、商品の魅力を視覚的に伝える試みです。




作品として描かれているのは、「マックフライポテト」「ビッグマック」「ダブルチーズバーガー」「てりやきマックバーガー」「チキンマックナゲット」の5品。制作を手がけたのは、美術大学の現役学生やOB・OGのアーティストたちです。
額縁には、店舗で実際に使われているトレーをモチーフにしたフレームを採用し、作品名や解説キャプションも添えられています。
なかでも六本木ヒルズ店では、5点の原画展示に加えて、「マクドナルド美術館」というコンセプトを伝えるメッセージパネルを店内3カ所に設置。食事の合間に、ふと“鑑賞する時間”が生まれるような空間づくりが印象的です。

さらに同日からは、下北沢の複合施設「ミカン下北」にて、マックフライポテトの作品を大胆にスケールアップした屋外広告も展開。通常のトレーマットの約100倍にあたる、幅約3.7メートル×高さ約2.6メートルというサイズで掲出され、ギネス世界記録「Largest tray liner(最大のトレーマット)」にも認定されました。
日常的な商品を“アート”として再解釈し、店舗空間から街へと広げていく今回の取り組み。見慣れたメニューが、少し違った表情で目に入ってくる。そんな発見を楽しめる、マクドナルドらしいユーモアとデザイン性が光る事例です。


「腹減る準備、OK?」広島の“おいしい”をつなぐ冬キャンペーン

広島県は「おいしい!広島プロジェクト」の一環として展開する大型企画「OK!!広島(おいしいけぇ、ひろしま)」の冬キャンペーンをスタートしました。

このプロジェクトは、2025年6月の始動以来、首都圏を中心に県内外へ向けて、広島の“食の魅力”を発信しながら、「ひろしまブランド」の強化と観光消費額の拡大を目指してきました。今回は10月に実施された秋企画「OK!!TOBER広島」に続く取り組みで、年末年始の旅行需要が高まるタイミングに合わせた展開となっています。
冬キャンペーンの目玉となるのが、スペシャルムービーの公開です。プロジェクトの応援団長を務めるのは、広島生まれの同級生、吉川晃司さんと奥田民生さんによるユニット「Ooochie Koochie(オーチーコーチー)」。
2人の「腹減る準備、OK?」という呼びかけから始まり、楽曲「おちこち」に乗せて、広島県内の生産者や料理人、カープファン、サンフレッチェのサポーターなど、さまざまな“広島県人”が登場し、食の魅力をリレー形式で伝えていきます。
映像全体から伝わってくるのは、観光PRというよりも、「おいしいものを、誇らしく語る広島の空気感」。地元の人たちが主役になることで、食と土地の距離がぐっと近づく構成が印象的です。



そのほかにも、福山城に宿泊できる“超特別城主体験”が当たるフォロー&リポスト企画や、県産食材を積極的に扱う飲食店「食べんさい店」と連携したキャンペーンを実施。
さらに12月31日に広島グリーンアリーナで開催される「Ooochie Koochie TOUR 追加公演」にあわせて、広島城三の丸にある「ひろしまIPPIN 広島城三の丸店」では、プロジェクトの特別展示も行われます。
音楽、映像、リアルな体験を組み合わせながら、“食べること”を入り口に広島の魅力を伝えていく今回の冬キャンペーン。地域の温度をそのまま届けるような、広島らしいコミュニケーション施策となっています。
