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2025.12.22

「2024年度 ブランディングに関するアンケート」タナベコンサルティング

2025.12.22

「2024年度 ブランディングに関するアンケート」タナベコンサルティング

タナベコンサルティングは、企業のブランド戦略に関する最新の動向を把握するため、「2024年度 ブランディングに関するアンケート調査」を実施しました。
対象となったのは、全国の企業経営者や役員、経営幹部、経営企画・マーケティング・ブランディング部門の責任者・担当者など、合計338名。

今回の調査では、まず「自社が属する市場をどのように捉えているか?」という視点から、ブランド投資に対する方針の違いが浮き彫りになりました。

ブランド投資の方針は?

自社の市場を「成長市場」と捉えている企業では、ブランドへの投資方針について「増加」と答えた企業が54.7%と過半数を超えました。「横ばい」は35.8%、「減少」はわずか9.4%という結果です。
これは、企業が成長市場において積極的なブランド強化を通じて、さらなる市場開拓や競争優位の獲得を狙っていることを示唆しています。

ブランディング戦略、過半数が未策定

今回の調査では、「自社でブランディング戦略を策定しているかどうか」という設問に対し、策定している企業が46.7%という結果となりました。これは、前年から約7ポイントの増加です。
ブランドに対する意識の高まりがうかがえる一方で、依然として過半数(53.3%)の企業がブランド戦略を策定していないという現実も見えてきました。

この結果からは、多くの企業でブランディングの必要性が徐々に認識され始めている一方で、実際の戦略策定や施策の実行までは至っていないケースも多いことが分かります。
「必要なのはわかっているけど、何から始めればいいか分からない」という企業の声も背景にあるのかもしれません。

ブランディング活動は、単なる“見た目”の整備だけではなく、企業の信頼や選ばれる理由を築いていく中長期的な取り組みです。
今後、こうした未策定層がどう動いていくかが、ブランド価値の競争における一つのカギとなりそうです。

さらに、「ブランド戦略を策定している」と回答した企業のうち、57.0%が“戦略は順調に進行している”と回答しました。
一方で、39.2%の企業では何らかの遅れや停滞が発生しているという結果も出ています。

この結果からは、策定までは進んでも、実行段階で課題に直面している企業が少なくないことがうかがえます。

効果があったブランディング施策は?

調査では、アウターブランディングの取り組みが実際にどのような効果を生み出しているのか、そしてどんな施策が実施されているのかについても尋ねられました。

まず、「売上の増加」に効果があったとされる施策としては、「インターネット広告」48.8%、「展示会・イベント出展」50.4%と、いずれも高い割合を示しています。さらに「市場シェアの拡大」においては、両施策とも57.4%と半数を超える企業が「効果があった」と回答しており、認知獲得とリード創出の場として引き続き有効であることがわかります。

一方で、「ブランド価値の向上」に最も効果的だったとされるのは、広報・PR活動(61.3%)でした。商品やサービスだけでなく、企業そのものの信頼感や姿勢を社会にどう伝えるかが、ブランディングにおいて重要な要素であることが、ここからも見て取れます。

また、「顧客満足度の向上」に関しては、広報・PR活動(50.0%)、コーポレートサイトの運営(47.8%)、インターネット広告(46.7%)が主な効果的施策として挙げられました。
これらの取り組みは、単なる情報発信を超えて、企業と顧客との信頼関係を育てるタッチポイントとして、ますます重要な役割を担っていることがうかがえます。

今回の調査では、インターナルブランディング(社内向けブランディング)に関する取り組みの効果についても明らかになりました。

中でも、パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー(いわゆるPMVV)の策定が、企業文化の強化(61.8%)や顧客満足度の向上(59.2%)につながっているという結果が出ています。
社内の共通認識が定まり、日々の行動に芯が通ることで、外へのサービスや顧客対応にも良い影響が生まれていることがうかがえます。

また、社員向けイベントや表彰制度などのエンゲージメント施策は、離職率の低下(47.2%)や生産性の向上(45.6%)に効果があるとされ、組織の定着やモチベーション維持に貢献している様子が見られました。

さらに、社内報やイントラネットを活用した情報発信も、離職率の低下(46.5%)や生産性向上(42.9%)において一定の効果があり、日常的な社内コミュニケーションのインフラとして重要な役割を果たしていることがわかります。

インターナルブランディングというと抽象的に捉えられがちですが、こうした調査結果からは、「人が定着し、生き生きと働ける組織づくり」につながる、実用的な取り組みであることが見えてきます。

広報活動は「自社サイトでの情報発信」が最多

今回の調査では、企業が現在どのような広報活動を行っているのか、その実態についても明らかになりました。

最も多く実施されていたのは、「自社サイトでの情報発信」(59.8%)。企業のオウンドメディアとして、ニュースやブログ、特設ページなどを通じた情報発信が、今や広報の中心的な手段となっていることがうかがえます。

次いで多かったのは、「SNSでの情報発信」(39.6%)。SNSは即時性の高いツールとして、ユーザーとの日常的な接点づくりに欠かせない存在になりつつあり、デジタルコミュニケーション戦略の中核を担っていることがわかります。

また、プレスリリースの活用状況についても注目すべき傾向が見られました。
「自社サイトでのプレス・ニュースリリース作成・配信」は48.8%と高い割合を示し、「外部ツール(PR配信サービスなど)を活用した配信」も33.1%にのぼっています。
これらをあわせると、情報の信頼性や一次発信としての強さを活かした広報手法が、依然として有効であることがわかります。

一方で、「海外向けのプレス・ニュースリリースの配信」はわずか4.7%と限定的な実施状況にとどまっており、グローバル視点での情報発信にはまだ伸びしろがあることも示されています。

広報活動は今、紙やメディア向けだけでなく、デジタルチャネルを活かした“戦略的な情報設計”の時代へとシフトしています。
情報をどこで・どのように届けるかを設計すること自体が、企業ブランドをかたちづくる重要な要素になっているのではないでしょうか。

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